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我らが少女A

/177 第5章 23=高村薫 多田和博・挿画監修

 あのころの朱美の声は、いつも寝起きのようにボソボソとして聴き取りにくかった、と真弓は思いだす。磨(す)りガラスを一枚はさんで会っているかのようで、すぐ近くにいるのに近さが感じられない。いまにも輪郭が薄れて消えてゆきそうで、なんだかホログラムが喋(しゃべ)っているようだった、と。いや、これは自分の記憶のなかだけの朱美で、ほんとうは違ったのかもしれない。それでもこうして夢のなかで会えるのは、電気仕掛けのピエロになったり、歌いながら宙返りをしたりの元気な朱美ではなく、気がつけばよく理解できなくなっていた薄昏(うすぐら)い朱美ばかりだ。

 初体験は--? 朱美はなにかしらくすんだ眼(め)でこちらを窺(うかが)い、返事を待たずに、大人にな…

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