展覧会

没後30年鈴木賢二展 昭和の人と時代を描く- 働く人のための芸術=評・高橋咲子

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 北関東を拠点に版画運動を担った版画家、鈴木賢二(1906~87年)の全貌を伝える回顧展。近年、戦時下の芸術家の仕事をことさらタブー視することなく、作家を知るための一助として扱う展覧会が増えているが、本展も、「戦争協力」のための創作に関わった戦中も含めて作家像に迫ろうとする。

 鈴木は現在の栃木市生まれ。東京美術学校(現東京芸大)で彫刻を学び、小林多喜二が「蟹工船」を発表したプロレタリア文学誌「戦旗」などで挿絵や風刺漫画を発表する。

 その後、弾圧を逃れて戻った栃木時代の彫刻にも光を当てている。彫刻家として国威発揚のための美術展に出品し、宮崎市の八紘一宇(はっこういちう)の塔(八紘之基柱)制作に携わった鈴木。一見戦前や労働運動に携わった戦後と正反対の行為に思えるが、この背景には、芸術家として社会と関わりたいという一貫する意志があったと本展は訴える。

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