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第94回センバツ高校野球

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春風吹かせ!

’18センバツ/4 慶応 集中力で守り切る 実戦練習積み、成果実感 /神奈川

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守備練習に励む大川裕也選手=横浜市港北区の日吉台球場で28日 拡大
守備練習に励む大川裕也選手=横浜市港北区の日吉台球場で28日

 <第90回記念選抜高校野球>

 傾き始めた太陽が照らす昨年7月25日の横浜スタジアム。慶応の大川裕也選手(2年)は準々決勝の桐光学園戦で、最終回の攻撃をベンチから祈るような思いで見守っていた。

 左翼手として途中出場した大川選手は八回裏の守備に後悔があった。逆転され3点のリードを許した直後、打者がフライを上げた。「気持ちを切り替えきれていなかった」。落下点に向かう1歩目をうまく出せずに二塁打にしてしまった。更なる失点にはつながらなかったものの九回には先頭打席に立ち二ゴロで凡退。「アウトを取れていれば攻撃のリズムが違ったかもしれない。投打ともに貢献できなかった」

 試合は初回に5点を先行されながらも追いついては勝ち越され、落ち着かない展開だった。八回表にようやくリードしたが、直後に逆転を許した。九回、2死満塁まで意地を見せるも8-11と及ばず、無念の8強。泣き崩れる先輩の姿に大川選手も涙がこみ上げた。

 昨シーズンのチームは秋の関東大会4強をかけた試合でサヨナラ負けを喫すなど、勝てそうな試合を落としてしまっていた。あと一歩のところで逃してきた勝利に、大川選手は「二度と繰り返したくない」と誓った。そして、終盤でも集中力を保って守り切るための練習が始まった。

 一方、森林貴彦監督(44)は別の面からも守りの重要さを感じていた。「本塁打を打てる選手が抜けて打力が落ちる。少ない点数で勝てるチームにする必要があった」と、新チームの練習では守備に多くの時間を割いた。選手の気持ちと監督の意図は一致し、昨秋は打撃で苦労したものの、もぎ取った得点を守って競り勝つ試合が目立った。試合を見た上田誠・前監督(60)は「うまく場面設定をした実戦練習を相当積んでいると思う。試合でピンチを迎えても慌てる様子が無い」と選手が取り組んできた練習の成果を実感していた。

 新チームで大川選手は外野手チーフに選ばれた。昨夏のチームで務めていたのは入部初日から面倒を見てくれた森莞汰選手(3年)。「絶対に甲子園に行ってほしい」。先輩から託された夢をかなえ、「秋は最後まで集中力を切らさずに守り切れた。雪辱は果たせたと思う」と安堵(あんど)の表情を見せた。

 「苦しい思いをしてきた8学年分の先輩の思いが積もり積もってこれまでより少しだけ良い結果になった」。選出の知らせを受けた今月26日、森林監督はそう話した。「失敗を恐れずに日本一を目指したい」と大川選手。先輩の悔しさを強さに変えたチームは、次なる目標“センバツ初優勝”を目指す。【中村紬葵】=つづく

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