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大逆事件の闇(安曇野市・千曲市) 発端の地だった信州 /長野

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かつて明科製材所があった安曇野市役所明科支所=安曇野市で
かつて明科製材所があった安曇野市役所明科支所=安曇野市で

 安曇野市役所の明科支所がある場所に、明治時代後期から大正初めにかけ、官営の明科製材所があった。明治政府による思想弾圧事件とされる大逆事件は、この製材所の工員が企てた爆裂弾の製造計画を、警察が摘発したことが端緒になった。

     ◇

 1909(明治42)年6月、当時は中川手村だった明科駅に一人の男が降り立った。明科製材所の機械工として赴任する宮下太吉だ。生まれは甲府で、当時34歳。腕利きの工員として愛知県の鉄工場から移ってきたが、社会主義者という別の顔を持っていた。

 労働者の待遇や格差に不満を抱く宮下は、天皇制が問題の根にあると思い込み、爆裂弾を使って明治天皇を暗殺する計画を企てた。宮下は明科で下宿を転々と替え、社会主義者の新村忠雄、管野スガらと連絡を取り、ひそかに爆裂弾の製造を進めた。近くの山中で爆発の実験にも成功した。だが、宮下の動きは県警に察知され、明科駐在所の小野寺藤彦巡査が内偵していた。10年5月、宮下らは爆発物取締罰則違反容疑で一斉に逮捕された。

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