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我らが少女A

/180 第5章 26=高村薫 多田和博・挿画監修

 【あらすじ】池袋で殺害された上田朱美は十二年前の未解決事件に関わっていた。当時の被害者栂野節子の周辺人物の中に浅井忍が浮上する。かつての捜査責任者合田の元同僚浅井隆夫の息子であり、その忍が今、節子の孫娘真弓にストーカー行為を再び始めている。

 栂野家の塀の外から明かりもないガラス窓を見つめる若い男の姿と黄緑色のレンタサイクルは、道路をはさんだ向かいの家の夫婦の眼(め)に留まる。事件当時、同じようにして栂野家の玄関前で栂野節子がどこかの少年を叱りつけているのを見ていた夫婦も、それから十二年経(た)って後期高齢者になったが、昔と似たような状況が衰えた記憶力を一気に呼び戻して思わず二人で首を伸ばし、窓の外を凝視することになった。

 夫婦は道路の男をたんに不審者と見なしたに過ぎないが、かつて不幸な事件に遇(あ)った家のことでもある…

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