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名護市長選

進まぬ振興、止まらぬ移設 辺野古思い複雑

名護市長選の候補者の街頭演説が終わった後、静けさが戻った辺野古集落の中心部=沖縄県名護市で2018年1月28日、野田武撮影

4日投開票

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設構想が浮上してから21年、名護市辺野古で県内移設の工事が進んでいる。その移設の是非が問われる名護市長選の投開票(4日)が迫り、選挙戦が過熱する一方で、かつて米兵相手の商売で潤った「基地の街」辺野古は静かに選挙の行方を見守っている。【遠藤孝康】

 選挙戦では、移設に反対する現職の稲嶺進氏(72)と、移設を推進する政府・自民が推す新人で元市議の渡具知(とぐち)武豊氏(56)が舌戦を展開している。両陣営の選挙カーも辺野古を訪れ、支持を呼びかける。

 夜の辺野古の社交街。「ここはゴーストタウンでしょ」。老舗スナックでママが嘆く。1960年代、ベトナム戦争の頃は約150軒の飲食店がひしめき合い、辺野古にあるキャンプ・シュワブと戦地を行き来する米兵でにぎわった。それから半世紀。米兵の姿はほぼ消え、数軒になったスナックやバーのネオンが寂しく光る。

 基地内の売店で働く嘉陽宗司(むねつか)さん(34)は辺野古で生まれ育った。約3年前、この地の魅力を伝えようと、米兵も参加する地元行事などを紹介するホームページを開設した。だが最近は更新をやめた。「結局、この街は移設問題とつなげられる。気持ちが萎えた」

 近くにスーパーがなく、下水道の整備も遅れている。「暮らしやすい街にしてほしい。新しい基地ができれば、国のお金でインフラ整備も進む」と期待する。基地入り口では移設反対の抗議活動を目にする。「地元は基地とうまく付き合ってきた。周りからとやかく言ってほしくない」

 2003年、当時移設を容認していた市と、辺野古地区は、移設を前提に議論を重ね、将来のまちづくり構想を作った。アメリカンスタイルの商店街、マリーナの整備……。だが大半は実現していない。移設反対の稲嶺市長が就任後、国は米軍再編交付金の支給を止めた。地区の商工会長の許田正儀(きょだまさよし)さん(68)は語る。「このままでは過疎が進んでいく。基地ができて騒音だけが来たでは、身もふたもない」

 辺野古地区の人口は約2000人で、市全体の3%。辺野古の人たちの多くは振興を条件に移設を容認したものの、移設反対の民意を受けた稲嶺市政が8年続き、疲労の色が濃い。国への不信もくすぶっている。建設業者は「苦渋の選択で受け入れたのに、国は何の計らいもしてくれない」。工事は大手が手がけるが、地元の業者は末端の扱いで利益も少ないという。「このままでは何の恩恵もない」

 金物店を営む西川征夫さん(73)は地区で数少ない移設反対派の一人だ。「移設受け入れでやって来るのは事故のリスクだけだ」と語る。国が移設工事を強行しており、「どうせ止められない」と市民の間にあきらめが広がることを懸念する。「子や孫に負の遺産を残すわけにはいかない」

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