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第94回センバツ高校野球

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明秀日立・初のセンバツへ 第1部 歓喜までの道/3 「2人の主将」チーム支え 助け合う意識、芽生える /茨城

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ランニングでもチームの先頭に立つ増田遊撃手(前列右端)と長尾投手(前列右から2人目)=高萩市石滝の明秀日立高野球部グラウンドで 拡大
ランニングでもチームの先頭に立つ増田遊撃手(前列右端)と長尾投手(前列右から2人目)=高萩市石滝の明秀日立高野球部グラウンドで

 <第90回記念選抜高校野球大会>

 「お前ら実力はあるけどな、強いチームにはなれないぞ。力だけで勝てるほど甲子園は甘くない」

 新チームになって間もない昨年8月28日、練習試合のため向かった群馬県内で、金沢成奉監督(51)は選手たちを厳しく叱りつけた。

 問題は生活態度にあった。

 遠征先に着き、選手たちはバスの中で食事をして降りた。その後、車内を見渡すと、座席や床にはペットボトルの蓋(ふた)や食べかすなどごみが散乱していた。

 この日の練習試合は11-12で敗れた。高萩市にある野球部の寮に戻り、選手たちがバスを降りた後、長尾巧投手(2年)だけが車内に残り、ごみが落ちていないか点検していた。

 チームの主将は攻守の中心である増田陸遊撃手(同)。中学時代は大阪の強豪チームに所属。期待されて明秀日立に入り、1年秋から主力として活躍する。金沢監督は「自分がやらなければいけないという責任をもう少し持ってほしかった」と主将を託した。

 しかし増田遊撃手は「主将は初めて。今まで先頭に立ってやったことがなく、自分のプレーで精いっぱいだった」と不安を感じていたという。

 そこで金沢監督は控えの長尾投手を、もう一人の「主将」に指名した。「長尾は何事にも一生懸命で、周囲のために頑張れる。彼の悪口を言う人はいない」と信頼は絶大だ。

 長尾投手も「何度叱られても常に野球を楽しみ、誰よりも声を出して盛り上げたい」と意気に感じる。

 昨秋の関東大会では試合に出場しなかったが、金沢監督のメッセージを届ける伝令を務めた。

 エース・細川拓哉投手(同)が打ち込まれても、マウンドで孤立させないよう心がけている。だから、「ほんまにやるしかない」「自分を信じろ」と自分なりの言葉を付け加えるのを忘れない。その熱意につられ、増田遊撃手や芳賀大成二塁手(同)らもマウンドに駆け寄り、「お前なら絶対に抑えられる」「俺のところに打たせてこい」と声を掛け合うようになり、チームにまとまりが生まれた。

 長尾投手は「サブキャプテンみたいなもので、あくまで陸のサポート役。でもチームを引っ張るのは苦ではない。常に楽しんでいる。やるしかないんで」と笑顔を見せた。

 「2人の主将」を見て、金沢監督は「増田も率先して引っ張るようになってきた。ようやくチームに助け合う意識が芽生えてきた」と目を細めた。【川崎健】=つづく

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