特集

今週の本棚

「面白い!読ませる!」と好評の読書欄。魅力ある評者が次々と登場し、独自に選んだ本をたっぷりの分量で紹介。

特集一覧

今週の本棚

佐藤優・評 『老前破産-年金支給70歳時代のお金サバイバル』 荻原博子・著

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 (朝日新書・821円)

「人並み」こそが高嶺の花

 政府によればアベノミクスが奏効し、日本の経済状況は改善しているということだが、圧倒的多数の国民にはその実感がない。本書は、富裕層以外の多数の国民に、生き残るためのノウハウを伝える実用書だ。

 日本弁護士連合会によると自己破産がもっとも多い世代が40代(27・02%)、次が50代(21・05%)という。<しかも、驚くのは「自己破産」した人の借金の額が何千万円ではなく、なんと半数近くが負債額500万円未満なのです。500万円未満で、裁判所から支払不能と認定されているということです。/なぜ、こんなに少額で破綻が認定されるのかといえば、生活そのものに余裕がなく、どう頑張っても500万円の借金でさえ稼いで返す力がなくなっているからです>

 ギャンブルや浪費ではなく、現在の60代、70代が構築した「人並みの生活」という呪縛が、経済的困窮の原因であると荻原氏は分析する。<それは、背伸びしてでも「人並み」でなければ、社会人として恥ずかしいという、横並び意識が強い団塊の世代から受け継いだ価値観でもあります。/「人並みのマイホーム」「人並みの車」「人並みの教育」「人並みの生活」……ところが、この「人並み」こそが、今は高嶺(たかね)の花という…

この記事は有料記事です。

残り883文字(全文1424文字)

あわせて読みたい

注目の特集