花咲くころ 犯罪と性暴力が日常に 戦争で歪められた社会
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ジョージア、以前はグルジアと呼ばれた国から届いた映画です。ソ連を構成する共和国の一つだったジョージアは1991年に独立しますが、その後アブハジア、南オセチアの領有を巡って戦争が始まります。この映画は、90年代、戦争のただなかのジョージアの首都トビリシを舞台とした、14歳の少女2人のお話です。
エカとナティアは、いつも一緒に遊ぶ、仲良しの女の子。でも2人の家庭は、それぞれに問題含みです。エカのお父さんは刑務所に入っているので、お母さんとお姉さんたちと暮らしていますが、お母さんにもお姉さんたちにもああしろ、こうしろと言われてばかりなので、エカはふて腐れるように黙ってばっかりです。ナティアの家ではお父さんがお酒を飲んでばかりいるので、お母さんと喧嘩(けんか)が絶えません。学校では先生が専制君主のように理不尽な命令を繰り返すし、学校帰りには柄の悪い男の子にいじめられるし、たいへんな毎日です。
こんなふうに紹介するとティーンエージャーの女の子の暮らしという感じを受けるでしょうが、ちょっと違う。社会が貧しいうえに、どこか荒(すさ)んでるんです。ナティアのボーイフレンドのラドが、贈りものがある、いいと言うまで目を開けちゃいけないよなんて言ってくれたものを見ると、1丁の拳銃。自分のことを守ることができるようにあげると言うんですけど、14歳の少女へのギフトが拳銃ですよ。
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