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陸自ヘリ墜落

「ドーン」に黒煙と炎 「上空飛ばないで」

煙を上げて燃える自衛隊ヘリが墜落した現場付近の民家=佐賀県神埼市で2018年2月5日午後6時39分、徳野仁子撮影

 ドンという爆発音に散乱する機体の部品、燃え上がる民家……。5日夕、佐賀県神埼市の住宅街に陸上自衛隊のヘリコプターが墜落した。上空で爆発したという目撃情報もあり、墜落で炎上した住宅には小学生の女児もいた。「沖縄の事故を思い出した」「もう上空を飛んでほしくない」。一歩間違えれば地域住民を多数巻き込む大惨事になりかねず、住民は声を震わせた。

     ヘリコプターの墜落現場から約200メートル離れた認定こども園「大立寺幼稚園・子どもの家保育園」の副園長、平尾道代さん(50)は「バーン」という大きな音を聞き、慌てて外に飛び出すと、プロペラが空中で飛び散るのを目撃した。「落ちる」と思い、気付くと園児に向かって「伏せて」と叫んでいた。外にいた3組ほどの園児と保護者が落ちる瞬間を見ていたという。

     間もなくして、ヘリが墜落した川口貴士さん(35)方の2階建て住宅の屋根が崩れ落ち、火柱が上がるのが見えた。平尾さんは近くの職員に「119番して」と声を掛け、迎えの時間と重なっていたため保護者に「園児は安全です。迎えには来ないようにしてください」と緊急メールを送った。当時園内には0~5歳児約60人がいた。

     その後、平尾さんが墜落現場近くに駆けつけると、川口さんが「娘が軽いけがをしているけれど、大したことない。家はどがんでもいいけん、家族が無事だったのが何よりだ」と話していた。

     川口さん方は夫婦と中学1年の長男、小学5年の長女(11)の4人暮らしで、当時家には長女だけがいた。ヘリが落ちたのは東側だが、長女は西側の部屋にいたため軽いけがですんだらしい。近所の住人によると、長女は川口さん方のすぐ隣にあり、一部焼損した祖父母宅から飛び出してきた祖母(69)と一緒に逃げ出した。祖母に抱きしめられた長女はパニック状態で泣いていたという。

     上空で爆発音を響かせた後、部品を落下させながら墜落するヘリコプターを目撃した住民は他にも多く、実際に現場の西約200メートルの水田には無数の破片が散らばっていた。

     現場から西約800メートル付近のガソリンスタンドで勤務中だった八谷(はちや)充信さん(32)は「『ドンッ』という鈍い音がして、車が電柱に衝突した事故かなと思った。上空で機体を見つけた時は、すでにメインローターが外れた状態で、機体が頭部から落ちていった。爆発した部品もぱらぱらと散らばっていった」と証言する。当時、風が少し吹いていて、曇り空だったが、機体の色も分かるぐらい明るかったという。

     住宅街への墜落事故で、多くの住民は米軍ヘリの墜落や不時着などが相次ぐ沖縄の現状に思いをはせた。現場から約300メートルに住む女性(65)は「沖縄のヘリの部品が落ちた事故を連想した。体が震えるような気持ちだった」。現場の南西約400メートルの自宅にいた主婦(67)も「今まで沖縄の米軍ヘリの墜落事故を『よそごと』と思っていたが、『もしうちに落ちていたら』と考えると、もう、そうは思えない」と不安を口にした。

     平尾さんは「子供たちもヘリを見て笑顔で手を振るのが日常だった。もしあと少しずれて園に落ちていたらと考えるとぞっとする。子供たちに何もなかったのがなにより。空から降ってくるものは逃げようがない。沖縄の人の苦しみが少し分かった」と話した。

     現場から約200メートルに住む会社員、野口一(はじめ)さん(55)は「歯科医に行こうとして家を出た時にドーンという音がして炎が20メートルぐらい上がり、黒い煙が見えた。普段からヘリコプターが飛んでいて、うるさかったが、できるなら、もう上空を通ってほしくない」と訴えた。【池田美欧、宗岡敬介、宮崎隆】

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