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第103回全国高校野球選手権

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若竹たちの挑戦

2018センバツ乙訓 強さの秘密/上 全員平等、一体感高め /京都

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練習前のアップでグラウンドを走る乙訓の部員たち=京都府長岡京市の同校で、礒野健一撮影 拡大
練習前のアップでグラウンドを走る乙訓の部員たち=京都府長岡京市の同校で、礒野健一撮影

 <第90回記念選抜高校野球>

 センバツ初出場を決めた乙訓高野球部。昨秋の近畿大会では公立校唯一の4強入りを果たす快進撃を見せた。その強さの秘密とは、市川靖久監督(35)の目指す乙訓野球の理想とは何か。3回に分けて迫る。【礒野健一】

 通常授業が終わった午後4時。マネジャーを除く全74人の部員がグラウンドに集まり、アップを始めた。ストレッチやダッシュで体をほぐすと、中川健太郎主将(2年)の指示で、部員はグラウンドで実戦練習をする班、室内練習場で打撃練習をする班に分かれた。学年やレギュラー選手の区別はなく、練習場所も途中で入れ替わる。同じ練習を全員平等にこなすのが乙訓野球部の特長だ。

 実力のある選手を優先的に強化し、1軍2軍を明確に分けることでハングリー精神を養い、甲子園で勝つ野球を目指す。大所帯の強豪校がよく取る手法だ。市川監督はそれも一つの方法と認めながら、「同じことをしていては公立校は勝てない」と語る。

 2010年にスポーツ健康科学科が設置され、府内で有望視された中学生の入学も増えた。しかし、全国から選手が集まる強豪私立校には到底及ばない。地元出身の「普通の選手」が大半を占める中で甲子園を目指すには、チーム全体の力を底上げしていくしかない。

 市川監督は「部員全員が同じ練習、同じ苦労と達成感を共有して一体感を高める。野球を楽しむ集団になれば、例えレギュラーになれなくても、チームに貢献する方法を自ら見つけ動くようになる。それが大きな力になる」と話す。

 秋季大会でも進んでバッティングピッチャーを務めたり、相手戦力を分析したりと、気持ちの入った応援をする部員が目立った。「ベンチ入りした選手は、外れた仲間のためにと実力以上のものを発揮する。遠回りかもしれないが、それが強豪に勝つための我々の手段」と説明する。

 その方針は、部員のやる気を引き出す以外にも効果を生み出した。全員が同じ練習をすることで先輩後輩の垣根が取り払われ、練習中の一つのミスにも、さまざまな角度から意見が飛び交うようになった。

 昨夏に引退した吉田和樹さん(3年)は「今の2年も先輩に対し遠慮がなかった」と笑う。「全員が『チームを強くするには?』と考えて練習している。それが乙訓の全員野球。飛び抜けた選手がいなくても勝てる要因です」。吉田さんは誇らしげに後輩たちを見つめた。

〔京都版〕

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