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’18春に挑む

東筑 支える人たち/上 「東筑の母」 「最後の仕事」で送り出す /福岡

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30年以上にわたり、東筑ナインを見守ってきた「きよみ理容館」の長野さん 拡大
30年以上にわたり、東筑ナインを見守ってきた「きよみ理容館」の長野さん

 <第90回記念選抜高校野球 センバツ高校野球>

 JR折尾駅から東筑に向かう通学路にある「きよみ理容館」。登下校時に野球部員がそのドアを開け、丸坊主の頭を下げてあいさつする姿はおなじみの風景だ。「東筑の生徒は自分の孫みたいな存在です」。野球部員たちを30年以上見守り、「お母さん」と慕われる理容師、長野順子さん(69)はそういって目を細める。

 3月末、区画整理事業に伴い、店を閉じることが決まっている。歴代野球部の集合写真が並ぶ店内で「うちにとって最後の1年に、夏も春も甲子園に出てくれるなんて」とうれしそうに話す。

 1976年に営業を始めた長野さんが野球部員との接点を持ったのは87年春。当時の野球部主将の来店がきっかけだった。この年の夏に甲子園に出場してからは、野球部員は「なじみ客」に。20年以上前に卒業した部員たちが、お土産を持って来店することもしばしばという。「里帰りしてくる子供を迎える感じかな」。甲子園出場時に無料で部員たちを丸坊主にするほか、年に数回は、チームにパンを数百個単位で差し入れてきた。

 最近は、自宅で丸坊主にする選手が増えたが、登下校時のあいさつとおしゃべりは、今も長野さんのお気に入りの時間だ。選手たちは「すごく素直で優しい子たちばかり」と話す。

 「最後の春」となる今年のセンバツは、昨夏に続いて甲子園のスタンドでナインを応援する予定だ。「選手から『見に来てくれるんでしょ』と言われて。そう言われたら行かないわけにはいかん」と笑う。

 甲子園には、約40人の全部員を数日がかりで丸刈りにして送り出す。「うちの最後の仕事は、あの子たちを丸坊主にすること。それができたら、もう心残りはありません」。30年以上にわたりナインを見守ってきた「東筑の母」は感慨深げに話した。

  ◇  ◇

 20年ぶり3回目のセンバツ出場となる東筑。大舞台に向けて選手を支え、応援する人たちの熱い思いを伝える。

〔福岡都市圏版〕

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