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科学の森

人の嗅覚、独自に進化 動物にとって生存に不可欠

 甘い、酸っぱい、香ばしい--。私たちの周りには数十万種類のにおいがある。その嗅覚を巡って、人はその他の動物とは違う進化を遂げてきた。においは人の行動にどんな影響を与えるのか? 異性を引き寄せるフェロモンはあるのか? 気になる疑問を調べた。【斎藤有香】

 ●ゾウの鼻の秘密

 「最も嗅覚が優れている動物は?」。このクイズに多くの人は犬と答えるかもしれないが、答えはアフリカゾウ。嗅覚は、空気中のにおい分子を、鼻腔(びくう)上部の嗅上皮にある嗅覚受容体がキャッチし、それが嗅神経を通じて脳に信号として伝わる仕組みだ。受容体の数が多いほど、においの識別能力が高いという。新村芳人(にいむらよしひと)・東京大特任准教授(分子進化学)の研究結果によると、アフリカゾウの嗅覚受容体の遺伝子は1948個で、犬(811個)の2倍以上、人(396個)のほぼ5倍だった。ゾウの鼻は長いだけではなく嗅覚も優れている。

 約1億年前の哺乳類の共通祖先は、約800個の嗅覚受容体遺伝子を持っていたとされる。アフリカゾウは嗅覚を進化させた一方、視覚に頼るようになった人間は遺伝子を減らした可能性がある。新村さんは「動物にとって嗅覚は食べ物を探すなどの際に欠かせない感覚。嗅覚を失うことは死を意味する」と話す。

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