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天然痘

近縁種を作製、米科学誌に発表 軍事利用を懸念

 1980年に根絶宣言された天然痘ウイルスによく似たウイルスを人工的に作製したと、カナダと米国の共同研究チームが米科学誌プロスワンで発表した。同じ技術を使えば、致死率が高い天然痘ウイルスを復活させることができる可能性があり、専門家からは軍事利用やバイオテロへの悪用の懸念とともに、論文を掲載した同誌を批判する声も出ている。

     作製されたのは、天然痘の近縁種の馬痘(ばとう)ウイルス。人では病気にならない。米製薬会社トニックスの出資を受け、カナダのウイルス学者のデイビッド・エバンズ・アルバータ大教授らが馬痘ウイルスのDNA(約21万塩基対)の合成に成功。生物の細胞に感染して増殖する能力があることも確認した。

     天然痘ウイルスは91年に旧ソ連が崩壊した際、ウイルス株が他国へ流出した可能性があり、バイオテロに悪用される懸念が残る。今回は、天然痘ワクチンの改良などを目的に作製されたという。

     米科学誌サイエンスによると、チームは同誌と英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに論文を投稿したが、ともに採用されなかった。掲載したプロスワンは、デュアルユース(軍民両用)問題を検討する委員会で論文を審議し、「天然痘ウイルスの作製が可能になる新たな情報を提供する内容ではない」と判断したという。

     これに対し、デイビッド・レルマン米スタンフォード大教授ら米国の専門家2人がプロスワンのウェブサイトで「論文は掲載すべきではなかった」と批判。防衛医科大学校の四ノ宮成祥・防衛医学研究センター長は取材に対し「科学研究は公表が原則で、社会的なリスクを十分議論する必要がある。委員会はより詳細な審議過程を示すべきだ」と話す。【須田桃子】

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