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受験と私

タレントの段文凝さん「どんなに大変でも受験を思えば全然平気」

自らの受験経験を振り返る段文凝さん=東京都内で2017年12月15日、米田堅持撮影

 「日中の懸け橋」になりたいと多方面で活躍するタレントの段文凝さん。中国の大学を卒業しましたが、中国は日本以上の「受験地獄」。段さんはどのような受験生だったのでしょうか。【聞き手・浜名晋一】

人生で一番太っていた

 中国の大学入試(全国普通高等学校招生入学考試)は6月に行われます。日本と違うのは、センター試験と2次試験のように分かれているのではなく、1回しか行われないことです。一発勝負なので、みんな結構、プレッシャーを感じています。試験科目は語文(国語)、数学、英語、物理、化学、生物、政治、歴史、地理です。私は理系志望でした。生物の科目が好きで、将来、動物の研究者になりたかったのですが、途中からアナウンサー志望に変わりました。

 自分にもプレッシャーはあったはずですが、毎日、やるべき勉強が多すぎて、プレッシャーを感じるひまもありませんでした。苦手な科目は歴史です。中国は何千年という歴史ですから、とにかく覚えないといけない量が多い。

 受験勉強は一生懸命しましたね。高校3年になって勉強時間がすごく増えました。私は授業が終わったら、学校で夜8時ごろまで自習して、夕食も学校で取りました。帰宅してもまた深夜まで勉強です。机にうつぶせになって、そのまま寝てしまうこともありました。過去の問題を何年分かやりましたし、週末には予備校にも通いました。

 一発勝負ですから、ライバル意識も激しかったですね。大学に入学できる人は限られていますから、自分が頑張らないと、負けてしまいます。浪人もいますが、日本ほど多くはありません。今、思い返せば、あの時期の自分は尊敬できます。あんな感じで勉強することは、今できないと思います。勉強しかなかったから、高校時代の私に青春は無かったと思います。今は知りませんが、中国では部活もありませんでしたし。

 中国では親はすごく子供の勉強に熱心です。体が大事だと思われているから、栄養のあるものを作ってくれました。勉強ばかりして体を動かさないから、あの当時は人生で一番太っていました。

リポーターとして

 アナウンサーを志望したのは、内気なところがあったので、もっとみんなの前で堂々と話ができる人間になりたかったからです。そういう方向に進みたいと思いました。

 進学した天津師範大学は第1志望でした。親に勧められたこともありますが、アナウンサーになるための専攻はその学校にしかありませんでしたから。

 大学を卒業後、地元のテレビ局(天津電視台)でアナウンサーの仕事をやりました。新人でしたから、リポーター、記者、編集と何でもしました。レポーターの仕事では、グルメのリポートが多かったですね。私は正統派のニュースを読む顔ではないんです。身長も低いし、真面目で落ち着いたイメージではありませんから。大学の先生からも「おまえはニュース番組のアナウンサーはできないな。話したことを誰も信用できないから」と冗談で言われました。

今外に出ないと、永遠に出られない

 父親は日本語が話せるし、医師でしたので、名古屋や東京で病院関係の仕事をしたこともあります。親からいろいろ日本のことを聞いて、いいなと思っていましたが、留学しようとまでは思いませんでした。でも、ある日、生まれてからずっと天津にいて「今、外に出ないと、永遠に出られない」と思い、日本留学を決めました。

 日本と中国は似ていますよね。漢字を使うし、人の見た目も近い。だけど、違うところがいっぱいあることに興味を持ちました。父は「日本は美しい」「日本人は時間を守る」と褒めていましたから、好感は持っていました。一人っ子なので、留学しようとした時、母は反対しましたが、「日本の治安はいいよ」と説得したら、OKしてもらえました。

 2009年に来日し、日本語学校に通いました。来日した当初は日本語は話せませんでした。2カ月くらいかけて、五十音やあいさつの仕方などを勉強しました。日本語は全部難しい。今でも分からない言葉がいっぱいあるし、教科書で勉強した内容と、日本人が会話で話す言葉は全然違います。最初、あれっ?と思って、自分が勉強しているのは何だろうと思いました。日本で生活しているから、耳から先に覚えました。

 テレビや映画を見て、音楽も聞きました。また、外へ出て人とコミュニケーションを取るようにしました。アルバイトもたくさん経験しました。中華料理店や居酒屋、免税店でのバイトです。失敗もありましたが、失敗したからこそ言葉も覚えました。

 日本に来てみて、来日前のイメージと完全に一致するわけではありませんが、大体予想通りでした。でも、想像以上に言葉の習得は大変でした。言葉ができなければ、外に出ても買い物もできないし、銀行の口座も作れません。漢字で書いてあるものは何となく意味が分かりますが、言いたいことを伝えるのは苦労しました。聞き取れるけど、しゃべれないのです。

受験生に激励の言葉を贈る段文凝さん=東京都内で2017年12月15日、米田堅持撮影

 NHKの番組「テレビで中国語」に出演したきっかけは、オーディションでした。知り合いから「オーディションに参加しない?」と言われて、その日はちょうどバイトがないから、行ってみようかと思いました。でも正直、絶対受からないと思いましたね。結局、2カ月後に電話があって、「来年のスケジュールを確認したい」と言われて、えっ?とびっくりしました。

 まだ日本で頑張りたい気持ちもあるし、好奇心が強いので、いろんなことにチャレンジしてみたい。日本は複数の大学入試を受けられます。チャンスは1回だけじゃないのがいいと思います。中国にも私立大学はありますが、その入試も全て統一試験の成績で振り分けられますから。

緊張しつつエンジョイを

 (中国からの訪日旅行客の増加は)いいことだと思います。今の人は昔より日本に興味を持っていて、しかも、「爆買い」だけではなくて、若者は日本の文化に興味を持っています。日中の懸け橋になるのが私の夢ですが、今の状況はすごくうれしい。これから日中関係はもっと、よくなるはずです。

 受験勉強していた時と日本に来たばかりの時の自分を思い出すと、今、どんな大変なことがあっても、あの時より全然平気に思えます。一番大変な時でも乗り越えたから、今でも、頑張るしかないと思っています。

 受験はたぶん、人生で迎える最初の大変な経験です。受験生の皆さん頑張ってください。ただ、プレッシャーを感じすぎないようにしてほしい。人生のチャンスは1回だけではありません。何歳になっても、どんなタイミングでも、やり直しができます。緊張しつつエンジョイしてください。


 だん・ぶんぎょう 中国・天津市出身。天津師範大学卒業後、天津電視台でアナウンサーとして活躍。2009年来日。11年4月から、NHK教育テレビ「テレビで中国語」にレギュラー出演。14年、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース修了。日中間を行き来し講演活動を行い、「かわいすぎる中国語講師」として幅広い層に人気を得ている。現在、舞台や映画などを中心に女優としても活躍している。

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