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第94回センバツ高校野球

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勝負心・春

2018センバツ中央学院 第2部・支える人たち/1 焼き肉店「東苑」店主 伊藤利朗さん /千葉

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食事トレーニングに励みつつ、和気あいあいとテーブルを囲む選手たちと談笑する伊藤利朗さん(奥)=我孫子市東我孫子の東苑で 拡大
食事トレーニングに励みつつ、和気あいあいとテーブルを囲む選手たちと談笑する伊藤利朗さん(奥)=我孫子市東我孫子の東苑で

 <第90回記念選抜高校野球>

体作りの強い味方 採算度外視で「食トレ」協力

 「甲子園出場おめでとう」「絶対優勝!」。もくもくと煙が上がる店内の片隅に置かれた台に、常連客が紙に手書きした応援メッセージが並ぶ。我孫子市東我孫子の焼き肉店「東苑(あずまえん)」。先月30日夜、来店した部員8人の前に並んだのは1・5キロの山盛りご飯、肉4種類(ハラミ、タン、カルビ、セセリ)500グラム、サラダ。これで1人分。ボリューム満点のメニューを採算度外視で提供し、「食事トレーニング」に協力しているのが店主の伊藤利朗さん(39)だ。

 野球部との付き合いが始まったのは2016年秋。母校・中央学院大学の野球部の後輩が相馬幸樹監督(38)を連れて店を訪れたのがきっかけだった。自身も元高校球児で、センバツ出場経験もある。「ぜひ練習も見に来てください!」。相馬監督の誘いで時々練習をのぞくようになった。

 部員たちは学食での3食に加えて、ご飯2合を目安に夜食を取るのがノルマだったが、ふりかけだけで食べる部員もいることを知った。「うまいものを食べさせたい」。寮にウインナー10キロを差し入れたり、店で焼き肉を振る舞ったりするようになった。半年ほど過ぎた昨年春、相馬監督から電話がかかった。「食トレやらせてください」。高校のころ、サプリメントなど栄養補助食品に頼りがちだった相馬監督には「体を作るため、きちんとした食事をさせたい」との思いがあった。

 そこでランチ営業終了後、投手陣ら約10人分の弁当を届けるようになった。しかし店は連日多忙。昨年11月からは週3回ほど夕食後に部員が店に訪れるスタイルにした。こだわりは効率よくたんぱく質を吸収できるよう赤身肉を提供することだ。ラーメン(4玉)、親子丼、ミートパスタ、うどん(2玉)などメニュー外の料理も出す。太れない部員には700グラムのおむすびを持たせる。

 テーブルを囲みながらスマートフォンで米大リーグの選手の動画などを見て野球談議に花を咲かせる部員たちの姿に伊藤さんは目を細める。「普段話せない本音を話してリフレッシュしてほしい」。部員に野球のアドバイスをすることもあれば、自身の経験を語ることもある。宇田周平中堅手(2年)は食事について助言を受けることがあり「自分にない知識を聞けて参考になる」と笑顔を見せる。

 試合にも足を運ぶ。神奈川県であった昨秋の関東大会。閉店後に車で出発し、車中泊をして応援に駆けつけた。夕方5時の開店に間に合うよう戻らねばならず、準決勝の東海大相模(神奈川1位)戦は同点のまま延長に入る直前で球場を後に。帰宅後に菅井聡コーチ(30)からの連絡で決勝進出を知り、大喜びした。

 食トレに参加する部員は昨春から体重が平均約5キロ増加。エースの大谷拓海投手(2年)は67キロから77キロ、リリーフで右翼手の西村陸選手(2年)は60キロから68キロに。伊藤さんは「この一冬でどう成長しているか楽しみ」と期待する。我孫子勢の甲子園は1991年夏以来。「何としても1勝してほしい」。ナインが悲願を果たす日を心待ちにしている。=つづく

    ◇

 来月23日に開幕する第90回記念選抜高校野球大会に向けて日々練習を重ねる中央学院ナイン。第2部では、さまざまな形で野球部を支えている人たちを紹介する。(富美月が担当します)

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