特集

第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。1月28日の選考委員会も速報します。

特集一覧

目指せ頂点

’18センバツ明徳義塾 第2部・寄り添う人々/上 食事で選手支える /高知

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
明徳義塾の選手たちと笑顔で会話する笹岡忍さん(左から3人目)=高知県須崎市浦ノ内下中山の同校で、松原由佳撮影 拡大
明徳義塾の選手たちと笑顔で会話する笹岡忍さん(左から3人目)=高知県須崎市浦ノ内下中山の同校で、松原由佳撮影

 <第90回記念選抜高校野球>

 「今日もうまそうや」「今日のおかず何ですか?」。練習を終えた選手たちが笑顔で食堂にやって来た。「補食」の調理を担当する野球部OBの笹岡忍さん(40)が、一人ずつ声を掛けながら皿を手渡す。野球部の選手たちは全員寮生活。おなかいっぱい食べて力をつけてもらいたいと、笹岡さんが週4日、夕食の補食としておかずを1品手作りしている。

 笹岡さんは須崎市出身。1996年に明徳義塾高を卒業後、福岡工大に進学。社会人野球の西濃運輸で活躍した。結婚後の11年、「夫婦で何かやりたい」と、土佐市で弁当屋「世味(せみ)」を開業した。

 馬淵史郎監督(62)から依頼され、開業直後から補食をスタートした。補食は火曜から金曜まで週4日。丼や汁物は店で作ってくるが、炒め物などは学校の食堂で作る。人気メニューはから揚げや、豚肉に中華風スープをかけた「塩豚丼」。レパートリーは20種類以上あり、最低1カ月は同じメニューを出さないようにしているという。「子どもが好きそうなもの、ごはんがもう1杯、2杯と進むようなメニューを出すようにしています」。疲れがたまっていそうな時は、疲労回復に効く豚肉を多めにしたり、汗をかく6月には味を少し濃くしたりと、選手の健康に気を使う。

 16年からは選手たちの守備練習もサポート。開業前にも練習を手伝っていた時期があり、「何かお手伝いさせてください」と自ら名乗り出た。平日の午後2時半ごろからノッカーとして参加し、1年生投手にもアドバイスする。笹岡さんが指導するのはレギュラーに入っていない選手たち。「毎日毎日の積み重ね。一生懸命やっていれば何かある」。そう選手たちに伝え続けている。

 自身は1年生の夏からベンチ入り。だが3年間あと一歩の壁に阻まれ、甲子園の土を踏むことはなかった。後輩たちが何度も甲子園に出場している姿に「羨ましいですよ」と笑う。

 気を張り詰めて練習に励む選手たちにとって、食事はリラックスできる時間だ。表情を緩め、チームメートとの会話を楽しむ。笹岡さんも選手たちの進路や野球の話に耳を傾ける。

 この日のおかずはライスコロッケ。笹岡さんが余ったおかずを示しながら「おかわりいる人?」と尋ねると、一斉に手が挙がった。大田垣陽友(ひゆう)選手(1年)は「毎回おいしい。一つの楽しみ」と笑顔で頬張る。笹岡さんも「おいしかったですと言われるのが一番うれしい」とにっこり。センバツまで残り2カ月弱。「平常心で、いつも通りやってくれたら」と選手たちの活躍を見守る。

  ◇ ◇

 センバツに向け練習に励む明徳義塾。メンバーの生活に寄り添い、支える人々を3回にわたり紹介する。【松原由佳】

関連記事

あわせて読みたい