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社説

北朝鮮が文氏に会談提案 平和攻勢に惑わされるな

 筋の悪いくせ球だ。独裁者のエゴを貫くために計算され尽くした甘い言葉に、惑わされてはいけない。

     北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が特使として派遣した妹の与正(ヨジョン)氏を通じて、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領に平壌での近日中の会談を提案した。文氏は、会談実現へ向けた条件を整えていこうと応じたという。

     核・ミサイル開発に対する経済制裁で陥った苦境を打開しようという北朝鮮の狙いは明白だ。

     北朝鮮への国際的圧力は強まっている。後ろ盾だった中国が制裁に同調するようになり、石油精製品の輸入にはこれまでの9割減という上限が設定された。洋上での密輸に対する監視も強化された。

     金政権は貿易に頼らない経済作りを国民に呼びかけ、厳しい制裁にも耐えられると主張する。しかし当面はしのげたとしても、長期的な将来展望など描きようがない。

     米国による軍事的圧迫も負担になっているはずだ。

     朝鮮半島周辺で米軍が大規模に展開すれば、北朝鮮軍も警戒態勢を強化せざるをえない。貴重な燃料を消費し、動員される将兵は疲弊する。軍に不満がたまれば権力基盤にも悪影響が出かねない。

     こうした閉塞(へいそく)状況を打破する突破口として、対話に前向きな文政権に狙いをつけたのだろう。北朝鮮はいま平昌(ピョンチャン)冬季五輪を舞台にした平和攻勢を韓国に仕掛けている。

     北朝鮮は一方で五輪開幕の前日に大規模な軍事パレードを行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)も登場させた。核放棄に応じないという姿勢は明確だ。

     文氏は核問題をめぐる米朝の対話を仲介しようとしている。しかし朝鮮半島の非核化につながらない限り意味はない。成果を急ごうとする文氏の態度には危うさを感じる。

     五輪開会式前のレセプションでは北朝鮮の金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長と米国のペンス副大統領を同席させようとしたが、ペンス氏が席に着かなかった。米国との調整が不足したまま準備を進めたようだ。

     南北の首脳会談を必要としているのは北朝鮮である。そこを見誤ると、核を温存したまま国際包囲網を突破しようとする北朝鮮に手を貸すことになってしまう。

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