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若島正・評 『魔法にかかった男』=ディーノ・ブッツァーティ著

 (東宣出版・2376円)

読者を不気味な世界へ連れ去る短篇

 二十歳の頃だったか、あるホラー小説のアンソロジーで、イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティの短篇「七階」を読んだ。それが評者にとって、ブッツァーティとの初めての出会いであり、そのときからブッツァーティのファンになった。正確に言えば、ブッツァーティを有名にした長篇小説『タタール人の砂漠』よりも、カフカ的としばしば評される、彼の短篇のファンになったのである。

 ブッツァーティの短篇と言えばまず思い出される、代表作の一つと呼んでもさしつかえない「七階」は、七階…

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