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第94回センバツ高校野球

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強者に勝て

’18センバツ下関国際 第1部/5止 成長が試される「春」 /山口

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センバツ大会初出場が決まり、ダッシュして喜びをあらわにする下関国際ナイン=上入来尚撮影 拡大
センバツ大会初出場が決まり、ダッシュして喜びをあらわにする下関国際ナイン=上入来尚撮影

 下関市伊倉の下関国際グラウンド。選手たちが、鋭い掛け声と共に一斉に駆け出した。週3日、800メートル走を10本繰り返す走り込み。個々に設定した目標タイムを守れない選手がいれば、ペナルティーとして全員でもう1本走る。

 坂原秀尚監督は「科学的なメニューではない」と認める。それでも高野連の規定で対外試合のできない冬場の練習に取り入れるのは「チームメートのために最後までやりきる」経験を積ませるためだ。1本走り終えた選手には「なぜ走るのか」を考えさせ、タイムを守れなければこう言い聞かせる。「野球は1人が4打数4安打でも勝てない。みんなはお前を信じて走って、目標タイムに入っているんだぞ」

 9点差を追い付かれた末に敗れた昨年11月5日の秋季中国地区大会決勝の後、ナインは全員で夏の甲子園初戦のビデオを見返した。「甲子園で勝つ」という目標を再確認し、改善点を見つけるためだ。ある選手は外角攻めなどに苦しんだ経験から打席での立ち位置を変えた。変化球に対応するため操りやすい短いバットに持ち替えた選手もいる。

 「このままじゃ中国大会決勝と同じだぞ」。800メートル走でも以前に増して厳しい言葉が飛ぶようになった。決勝でリードを守れなかった主戦の鶴田克樹投手(2年)も苦手な走り込みに前向きに取り組み、時には仲間に本音もぶつける。「だめなものはだめと言わないと変わらない。自分が言われたら受け入れるし、だめだと思ったら指摘する」。そんな鶴田投手を甲山達也選手(同)は「つらくても走ったり、声を出したりするようになってきた」と信頼を置く。

 1月26日午後、電話で吉報を受けた山口和也校長がセンバツ出場決定を告げると、選手たちはグラウンドで坂原監督を大きく5回胴上げした。浜松晴天(そら)主将(同)は「素直にうれしかった」と振り返るが、同時に「全国優勝で胴上げできたらもっと最高だろうな」と強く感じていた。

 挫折からはい上がろうと厳しい練習でもがく選手たちの成長が試されるのは「春に試合をしたとき」(鶴田投手)だ。悔しさを胸に刻んだナインは、強者がひしめく春の甲子園を心待ちにしている。=第1部おわり(この連載は佐藤緑平が担当しました)

〔山口版〕

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