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武田 砂鉄・評『針と溝』齋藤圭吾・著

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接写で表出するのは音楽に身を委ねた証

◆『針と溝』齋藤圭吾・著(本の雑誌社/税別2750円)

 音楽に「身を委ねる」という表現が好きだ。映画や演劇作品では、個人的には「向き合う」なんて感覚でいる。音楽って、没入して、同化する度合いが高い。そんな、こちらの考えに頷(うなず)いてくれる人は「ダウンロードなんかじゃ聴かないよ」と強がる姿勢にも賛同してくれるのだが、そう強がる姿勢に呆(あき)れ顔を向ける人は増える一方。パッケージで音楽を売る商法は、すっかり中年向けに特化されてきている。

 いや、音楽の聴き方はコチラが正しいのだと、つい意固地になる。身を委ねることで、こちらにも負荷がかかる。好きな曲だけをザッピングするのではなく、アルバムを丸ごと堪能する行為の積み重ねによって、作品にしっかりと没入できる。

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