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しあわせのトンボ

土について=近藤勝重

 毎日新聞の入社試験で出た作文の題が「土」だった。一緒に受けた友人に何を書いたのか聞くと、「人間は土から生まれ、土に返る」と書いたとか。すごいなあ。思わず声を上げていた。イモ掘りで爪が真っ黒になった話を書いていた自分のレベルを恥じつつ。

 大阪社会部時代の中年期、テレビドラマの「北の国から」をよく見ていた。全編にわたって心が揺さぶられたが、とりわけ印象に残ったのは主人公の純が中学卒業後、トラックに便乗させてもらい上京する場面だ。父親が運転手に1万円札2枚を封筒に入れて渡すが、札の隅に泥がついていた。「お前の父親の手についていた泥だろう。オラは受け取れん。お前の宝にしろ」。そう言う運転手に、純は土にまみれて働く父親を思い出し涙を流す。胸にくるシーンだった。

 「サンデー毎日」時代の50歳過ぎ、がんになった。自律神経の不調も原因とわかり、退院後は体調を取り戻すべく近郊の森や林に足を運び、土の上を歩いた。病んだ体を自然に戻すには土を踏むのが一番だ、と本で知って実行した次第。

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