戦後俳壇のトップランナーとして70年以上、走り続けてきた前衛俳句の巨人、金子兜太さんが白寿を前に「他界」へと旅立った。「造型俳句」を掲げて俳壇に激しい論争を起こしつつ、かいぎゃくを利かせた言葉の端々に深く温かな人柄をのぞかせる。子供たちを愛し、俳句の裾野を大きく広げた、比類ないスケールを持つ「現代の荒凡夫(あらぼんぷ)」だった。
金子さんには大きな原点がある。戦時中、海軍主計中尉として日本銀行勤務を中断して派遣されたミクロネシア・トラック島での悲惨な体験から拭いがたい影響を受けた。終戦後、餓死者が相次ぐ捕虜生活の心のよりどころとして軍人・軍属を集めた句会を催し、生き残った者で力尽きた仲間の死を弔う質素な墓碑を用意した。
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