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米軍機タンク投棄

漁船まで200m 漁すべて中止 青森

燃料タンクを投棄した米軍F16戦闘機の同型機=米空軍のホームページから
小川原湖
小川原湖の氷上に散乱していた金属片=小川原湖漁業協同組合提供

 20日午前8時40分ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機のエンジンが離陸直後に出火した。同機は基地北西側の小川原湖に補助燃料タンク2個を投棄し、約3分後に基地に引き返して着陸した。タンクの投棄地点の周辺では漁船がシジミ漁をしており、小川原湖漁協によると、最も近い漁船は約200メートルしか離れていなかった。操縦士も含めてけが人はなかった。

 同漁協は同日、米軍がタンクや油を回収して安全が確認されるまで、湖でのすべての漁を中止すると決めた。三村申吾県知事は「漁師が近くにいたことは重大。シジミ漁は大事な産業で、被害が出たことは遺憾だ」とコメント。防衛省東北防衛局も三沢基地司令官に安全管理の徹底や再発防止を求める申し入れを行った。

 同機は三沢基地の第35戦闘航空団所属。同基地の声明によると、離陸直後にエンジン火災が確認され、「操縦士が人けのないことを確認し、タンクを湖付近に投下した」としている。同機は安全に帰投し、操縦士にけがはなかった。同航空団のジョーブ司令官は「原因究明のため徹底した調査を実施する」とコメントしたが、防衛省関係者によると、同基地ではトラブル後も同型機の飛行が続いているという。

 防衛省などによると、F16の補助燃料タンクは通常、主翼の下に取り付けられ、全長は約4.5メートル、直径約1メートルで、重さは空の状態で約215キロ。最大約1400リットルの燃料を搭載できる。戦闘機のジェット燃料は灯油に近いケロシンと呼ばれる石油製品が主成分で、飛行中に不具合が発生した場合は、引火を避けたり、機体を軽くしたりするために燃料タンクを切り離すことが多い。今回の投棄地点の湖面には油膜や部品のようなものが確認されており、同省は今後、現地調査をして被害への補償も検討する。

 F16は1970年代に開発された対地攻撃も可能な戦闘機で、航空自衛隊のF2戦闘機のベースになった。三沢基地のF16を巡っては、2014年や15年にも海上に燃料タンクを投棄するトラブルが起きた。01年には基地北東でタンクやミサイルを投棄し、畑で金属片が見つかったこともある。【佐藤裕太、前谷宏】

「当たったら死ぬ」

 「冗談じゃない。船に当たったら妻が死んでいた」。地元のシジミ漁師、山田正彦さん(52)は語気を強めた。水につかりながら漁をしていると、上空を戦闘機が通過する爆音が響き、約500メートル前方で高さ約15メートルの水柱が突然上がった。妻はすぐそばの漁船上でシジミの選別中。突然上がった水柱に「何かの見間違いかと思った」と驚きを隠さない。

 小川原湖漁協によると、落下地点は小川原湖南岸の沖合で、厚さ約1センチの氷を突き破っていた。すぐ近くでは5、6隻が操業中。同漁協の沼田広樹指導課長によると、氷上には部品とみられる金属片が散乱し、油膜が確認された。米軍の状況確認に同行した漁師の山田さんは「氷に直径15メートルくらいの穴が開き、油のきつい臭いがした」と証言した。

 燃料流出の可能性があり、この日、湖の南側で水揚げされたシジミ385キロはすべて処分され、休漁日だった日本一の水揚げを誇るワカサギ、シラウオとともに当面、漁を見合わせることが決まった。

 東北町の蛯名鉱治町長は20日、三沢基地の司令官に対し「命にもかかわる重大事態」として、再発防止やタンクの早期回収を求めたが、禁漁長期化の懸念もある。

 付近でシジミ漁をしていた平田悟さん(58)は「漁に出られない日が続いたら、アルバイトを探すしかない」と不安そうに話した。【北山夏帆】

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