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旧優生保護法を問う

旧優生保護法下で不妊手術を強制された障害者らの記録に関する毎日新聞の全国調査で、強制手術を受けた人の約8割に当たる1万2879人の資料が確認できなくなっていることが判明した。「記録のない被害者」をどう特定し、救済につなげるか。

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旧優生保護法

強制不妊 手術目前、逃れた恐怖 脳性まひの当時10代 説得の母「ごめんね」

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「障害者が結婚すること、出産することを自由に決められる社会を」と話す小山内さん=札幌市西区で、安達恒太郎撮影
「障害者が結婚すること、出産することを自由に決められる社会を」と話す小山内さん=札幌市西区で、安達恒太郎撮影

 「もし手術を受けていたら、長男は生まれていなかった」。脳性まひの障害がある札幌市の小山内美智子さん(64)は、障害者への不妊手術を認めた旧優生保護法が施行中だった10代後半のころ、手術を受けさせられそうになった。同法の手術対象者に脳性まひは含まれず経緯は不明だが、当時の恐怖は忘れられない。

 1970年代初めで養護学校に通っていた17歳か18歳のころ、母が小山内さんを入院させるため荷物をまとめ始めた。「私が死んだら、生理の始末大変でしょ。心配で死んでも死にきれない。(学校の他の母親も)みんな言っている。(あなたも)子宮を取ってもらおう」。母の言葉に驚き、必死の説得に心が揺らいだ。

 でも「1000分の1の確率でも、誰かと結婚して子どもを産める可能性があるかもしれない」と考え「夢を捨ててしまうのは、やっぱりだめ」と思い直した。タクシーで病院へ向かう直前、道路にうずくまった。「手術はいつでもできるから、今日は行かない」。懸命に訴えた。

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