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モリシの熊本通信

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私たちに今、何ができるのか /佐賀

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 今年は年明けから東京出張が多く、熊本と行ったり来たりの生活を送っている。そんな折、東京の下町を歩く機会があった。

 大都会のイメージがある東京だが、木造住宅密集(木密)地域が都心を取り囲んでいる。下町の大通りから路地に入ると、驚くほど道が狭い。地震等で火災が発生すれば、一気に燃え広がることは容易に想像できる。

 東京都は15日、地震による火災発生や建物倒壊、災害時活動の困難さについて、地域別に危険度を5段階評価した「総合危険度」を発表した。発表によると、最も危険度が高い「ランク5」は、5177地域のうち85地域。ランクごとに色分けされた地図では、荒川・隅田川沿いの下町地域一帯に、「ランク5」を指す濃い色が目立つ。

 こうした地域では、どういった備えがなされているのか。気になって調べていたところ、防災をテーマにした短編映画の存在を知った。上映されているのは、東京消防庁の「本所防災館」(東京都墨田区)。早速、足を運んだ。

 映画のタイトルは、「君の命を守りたい-自助・共助~首都直下地震への備え-」。過去の地震から得た教訓を基に、私たちに今何ができるのか、問いかける内容だ。

 映画の前半は、首都直下地震による被害想定など、恐怖を感じる数字が次々と紹介された。東日本大震災や熊本地震の映像も流れ、膝の上で握った手に汗がにじむ。

 後半は住民の取り組み事例が次々と紹介された。住民の高齢化が進む集合住宅での、大規模な避難訓練。木密地域の街かどで開かれる防災教室。荒川区の全区立中学に設立された防災部。住民や行政の危機意識が伝わってくる。

 「自分の地元でもできる取り組みは多いな」。映画を見終えた直後、こう感じた。

 筆者の取材に応じた同館の担当者は、「東日本大震災から来月で7年。震災をきっかけに東京でさまざまな防災の取り組みが生まれた一方で、風化は確実に進んでいる」と指摘。その上で「地域での防災の取り組みや今回の映画などを通し、災害の脅威を再認識してほしい」と訴える。

 あと2カ月足らずで熊本地震から2年。日常生活で地震の話題はほとんど出なくなった。とはいえ、自分にどれだけの備えがあるのか、甚だ疑問だ。私たちに今、何ができるのか。もう一度じっくり考える機会を作りたい。


 ■人物略歴

田中森士(たなか・しんじ)

 マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

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