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社説

「教育充実」の自民改憲案 あらわになった自己矛盾

 自民党憲法改正推進本部で検討している改憲4項目の一つ「教育充実」の条文案が大筋で了承された。

     「教育を受ける権利」を定めた26条に第3項を新設し、国は「教育環境の整備に努めなければならない」との努力規定を設けるのが柱だ。

     子どもの貧困が社会問題化している。学ぶ意欲さえあれば誰もが等しく教育を受けられるようにすることが国としての目標であろう。しかし、それが実現していないのは憲法のせいではない。

     自民党が教育関連の改憲論議を本格化させたのは、安倍晋三首相が昨年5月、「自衛隊明記」の9条改正とともに提起したのがきっかけだ。

     日本維新の会が主張する「高等教育の無償化」に同調することにより、9条改正で維新の協力を取り付けるのが狙いだったとみられる。

     維新の憲法改正案は26条3項に「幼児期の教育から高等教育に至るまで(中略)無償とする」と規定する。現行憲法は小中学校の義務教育を無償と定めているが、無償化の対象を高校や大学に広げる内容だ。

     だが、そもそも自民党にその発想はなかった。民主党政権の高校無償化政策を「理念なきバラマキ」と批判したことからも明らかだ。

     同本部で議論を始めるとすぐに財源問題に突き当たった。仮に無償化できたとしても、大学などに進学するか、しないかで不公平が生じかねない。昨年末にまとめた論点整理に無償化は盛り込まれなかった。

     それでも何とか維新の理解を得ようと条文案に付け加えたのが「経済的理由によって教育上差別されない」との一文だ。ただ、「法の下の平等」を定めた憲法14条に「政治的、経済的又(また)は社会的関係において、差別されない」と既にある。

     重ねて26条に規定せずとも、教育の機会均等は憲法に基づく理念として教育基本法に明文化されている。

     国会で憲法改正案を発議するための数合わせに維新の協力は必要なのだろう。だが、無償化はのめないから中途半端な理念規定でお茶を濁した。これでは教育を9条改憲の道具にしているとみられても仕方ない。

     維新は自民の条文案を批判し、無償化の明記を求めている。政治的な思惑で憲法を論じる自民党の自己矛盾が露呈したといえよう。

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