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旧優生保護法を問う

旧優生保護法下で不妊手術を強制された障害者らの記録に関する毎日新聞の全国調査で、強制手術を受けた人の約8割に当たる1万2879人の資料が確認できなくなっていることが判明した。「記録のない被害者」をどう特定し、救済につなげるか。

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強制不妊 議連、来月発足 被害者救済、実態解明探る

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 旧優生保護法(1948~96年)で障害者に不妊手術を強制していた問題で、救済のあり方などを議論する超党派の議員連盟が3月上旬にも初会合を開く。各地で当時の資料の掘り起こしや当事者の提訴の動きが進む中、国会も対策に本腰を入れ始めた形だが、実際の救済に向けては課題も多い。国に実態解明をどこまで求められるかが最初のカギになりそうだ。

 議連には与野党の主要会派が参加し、会長に自民の尾辻秀久元厚生労働相、事務局長に社民の福島瑞穂副党首が就く見通し。今月27日には福島氏らが勉強会を開き、同様の法律があったスウェーデンなどの被害者救済事例を取り上げる。

 日本弁護士連合会によると、不妊手術は少なくとも約2万5000件に上り、強制手術を受けた人は1万6475人とされる。だが、厚労省は「旧厚生省の『衛生年報』などに記載がある件数しか把握していない」としており、詳しい実態は分かっていない。

 一方、自治体には手術の可否を決める審査会の記録など氏名を含めた資料が残っている場合があり、手術件数が全国最多の北海道などが分析を進めている。このため各党は「実態をまず把握することが大事」(岸田文雄・自民政調会長)、「どういうことだったかをまず確認しなければならない」(石田祝稔・公明政調会長)と実態調査が必要との認識で一致している。ただ、厚労省は「自治体に調査を命じる権限がない」と消極的だ。

 救済についても与野党幹部は前向きで、公明の井上義久幹事長は23日の定例記者会見で「できるだけ早く、何らかの救済措置を取るべきだ」と述べた。とはいえ具体策が固まっているわけではない。想定されるのは議員立法による救済だが、今回は手術を受けたことが証明できる当事者を見つけること自体が難しい。救済の範囲も▽不妊手術を受けた全員▽強制手術を受けた人▽手続きや手術の内容に違法性があった人--など、さまざまな考え方がある。

 さらに、国家賠償訴訟で敗訴判決や和解勧告が出ていない段階で、国が被害補償する根拠をどこに求めるかといった問題もある。議連に参加予定の議員の一人は「まだ救済法という段階ではない」と話す。自民、公明両党は議連と別にプロジェクトチームも近く発足させ、議論を深める方針だ。【藤沢美由紀、阿部亮介】

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