特集

第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

特集一覧

飛べ航空石川

18センバツ チーム紹介/下 学生コーチらが支援 悩み相談、頼れる兄貴分 /石川

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
ストップウオッチ片手に部員たちの練習を見守る稲垣悠太郎さん(右)=石川県輪島市で、日向梓撮影 拡大
ストップウオッチ片手に部員たちの練習を見守る稲垣悠太郎さん(右)=石川県輪島市で、日向梓撮影

 <第90回記念選抜高校野球>

 日本航空石川野球部は、マネジャーも含めると88人の大所帯だ。技術面だけでなく、部員たちの日々の悩みや相談をフォローするため、チームには監督ら指導陣のほかに「学生コーチ」がいる。部員たちは「頼れる兄貴分」と信頼を寄せる。

 学生コーチを務めるのは、輪島市三井町の同校キャンパス内にある日本航空大学校の学生たちだ。同大学校には航空石川野球部出身者も多く、中村隆監督は「野球のことをよく分かっているヤツに頼みたい」。前チームの正捕手で副主将だった山上祐大さん(18)は4月から就任する。センバツ出場を決めた後輩たちのため、春休み返上で合宿にも同行した。「自分たちの代よりもあいつらの方が強い。手伝えることはやってあげたい」と話す。

 同大学校航空工学科2年の高橋弘和さん(20)と、航空整備技術科を今月卒業した稲垣悠太郎さん(20)は、2016年から学生コーチを担う。スケジュールは部員と変わらない。講義前に朝練に参加し、放課後の練習にも駆けつける。寮での食事も一緒だ。航空石川野球部OBでもある高橋さんは現役時代は二塁手。2年の春からメンバー入りした実績を買われ、朝練でノックを打つなど内野手の指導に当たった。同年代の学生のように遊ぶ時間は限られるが、「チームが勝つとうれしい。自分たちは甲子園に行けなかったのでうらやましいけれど、同時に誇らしい」。

 山梨県にある兄弟校・日本航空野球部OBの稲垣さんは「普段の動きと違うな、けがを隠してるんじゃないかなと感じたら声をかけたりも。レギュラー選びの時期は特に、監督には相談しづらいのは身をもって知っている」と話す。最初こそ「何をしてやれるのだろう」と悩んだが、一緒に練習するうちに、何かを話したそうな部員が自分から口を開くのを待つなど、空気がつかめるようになった。

 チームの中軸を担う上田優弥選手(2年)は、スランプから救われた一人だ。1年の冬、アメリカに短期留学して野球を学びたいという思いが募り、現状に迷いが生じた。稲垣さんらに打ち明けると、「行きたいと思うのは野球をやりたい気持ちの表れ。悪いことじゃない」と受け止めてくれた。「ふわふわしていた気持ちが落ち着いて、頑張ってみようと思えた」と上田選手は振り返る。

 2人は今年度で学生コーチを卒業する。「高校野球に5年間も関われて、最後にはセンバツ出場を決めてくれた。日本一になってほしい」と高橋さん。稲垣さんは「努力の大切さなど、自分の現役時代には見えていなかったことを選手たちから学べて感謝している。彼らなら日本一になれる」。一緒に夢をつかむまで、残りわずかな時間を精いっぱいサポートするつもりだ。【日向梓】

次に読みたい

あわせて読みたい