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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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センバツ90/上 聖地の門戸、女子にも 茨城GG監督兼選手・片岡安祐美さん(31)

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練習中の選手に指示を出す茨城GGの片岡安祐美監督兼選手=茨城県稲敷市で、青木純撮影
練習中の選手に指示を出す茨城GGの片岡安祐美監督兼選手=茨城県稲敷市で、青木純撮影

 <第90回記念選抜高校野球>

体力差、もがいて自然体 茨城GG(ゴールデンゴールズ)監督兼選手・片岡安祐美(あゆみ)さん

 「いつか必ず、甲子園で女子もプレーできるはず」。女子選手、さらに監督として、壁にぶつかりながらも実績を重ねてきた。その原動力に甲子園への憧れがある。

 小学校3年のころ、テレビで見た甲子園はすべてがキラキラと輝いていた。大人から子供まで、白球の行方を固唾(かたず)をのんで見守る様子に心揺さぶられた。「あの場所に立ちたい。そのためならどんなに苦しくても我慢しよう」。そう思った。

 小中学校は軟式、熊本商高では公式戦に出られないと承知で硬式の野球部に入った。男子との体力差、体格差に苦しんだが「自分しかできないプレーで存在感を示せばいい」と決意する。

 ホームラン打者にも守備範囲の広い野手にもなれない。「それならバントやエンドランを100%決め、打球の落下地点を予測し、正確にキャッチしようと決めたんです」

 高校では3年連続で女子野球日本代表となり、2度の世界一に。大学に進んだ2005年には、タレントの萩本欽一さん(76)創設の現チームに入った。社会人の女性選手として注目されたが、11年に萩本さんから監督を引き継いだ直後、球場に入ると激しいめまいに襲われた。息苦しくなり、食べても吐いてしまう。

 「堂々としなきゃ、選手をきちんと引っ張らなきゃ、という思いに押しつぶされ、『うつ病の一歩手前』と診断されました」

 チーム成績も振るわない。救ってくれたのは、14年3月、萩本さんが口にした「安祐美の場合、年齢が邪魔しているのかなあ」という言葉だった。当時は27歳。「20代後半ならもっと多くのことができているはず」と、自らを追い詰めていたことに気付かされた。

 「苦手なノックはマウンド近くから打てばいい。高い声も相手の監督にはない武器と思えばいい。持ち味を生かし自然体で野球に取り組むようになった」。この年9月の全日本クラブ野球選手権で女性監督初優勝の快挙も成し遂げた。

 女子が選手として甲子園を目指せるようになれば、今以上に男女が力を合わせ、球界全体を活性化できると信じている。「男も女も野球にかける思いは同じ。体力や考え方の違いを乗り越えた先に、もっとすてきな甲子園があると思います」

   ◇

 第90回記念大会のセンバツは3月23日に開幕する。野球人口が減少する中、高校野球の課題を乗り越え、魅力を高めるには何が必要か。“聖地”に熱い視線を送る人々の話を聞き、そのヒントを探った。

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