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’18センバツ下関国際 第2部/4 選手の胃袋支え4年 /山口

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選手の体作りを支える新下関食堂店長、森脇さん 拡大
選手の体作りを支える新下関食堂店長、森脇さん

 <第90回記念選抜高校野球>

 とんかつや南蛮漬け、サラダ--。作りたての料理が60種類以上並ぶ「新下関食堂」(下関市一の宮本町)は連日、セルフサービスで好みのおかずを選ぶ大勢の客でにぎわう。

 店長の森脇秀一さん(43)が切り盛りする人気店には実は、メニューにない「定食」がある。親元を離れて店の近くの寮で生活する下関国際ナインの体作りのため、従業員が栄養とバランスを考えて組み立てたボリューム満点の逸品だ。

 店が野球部の寮生に食事を提供し始めたのは2014年秋のこと。部がそれまで利用していた店が廃業し、契約を打診された。当初は「体重を増やしたい」との要望に応えようと、メインは毎晩チキンカツ。サービスの山盛りご飯に加えて、好きなおかずを選手たちが選んでいた。

 「これじゃ絶対に栄養バランスが悪いし、家計もきつい」。16年秋、子育て経験豊富な母親も多い従業員から声が上がった。食事を自由に選ばせると価格が毎日1食1200円超となる選手が出る一方で、毎晩続くチキンカツも飽きられていた。食堂側から提案して定食形式に変更した。献立は、従業員で相談して食堂のメニューから1週間分を組み立てる。山盛りご飯はそのままに、1食700~900円台に抑えた。

 ある日の定食のおかずは、肉じゃが、チキン南蛮、卵焼きなど盛りだくさん。中軸の川上顕寛(たかひろ)選手(2年)は、入学時から体重が15キロ増えたといい、笑顔で「体作りに必要なものを考えてくれているので、きつい練習でも大丈夫です」。身長180センチと大柄な木下尚穏(しおん)選手(同)は「体重を上げても素早く動けるようにしっかり練習したい」と話しながら、食べ始めから5分ほどでご飯をおかわりした。

 当初は団体の高校生をいぶかしげに見る一般客もいたが、礼儀正しく30分以内で食事を済ませる姿や、下関国際の活躍を知るにつれ周囲の目も変わった。今では料理を並んで待つ選手たちに声をかける客がいたり、野球部を話題に従業員と客の会話が弾んだりする。「選手のおかげで食堂も地域との関わりが増えてきた。少しずつ理想の形になってきている」と森脇さん。

 選手たちの胃袋を支え始めて4年がたつ。線の細かった部員がたくましく育ち、活躍するのを見るのが従業員の何よりの楽しみという。「選手たちには思いっきり楽しんできてほしい」。大会に向けて、腕によりを掛けた食事でさらに応援するつもりだ。

〔山口版〕

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