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第94回センバツ高校野球

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#初めての春

第2部 伊万里センバツ・支える人々/3 商店主 応援の気持ちを形に /佐賀

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応援タオルを掲げる中野さん。店には横断幕を掲げて、祝賀ムードを盛り上げている 拡大
応援タオルを掲げる中野さん。店には横断幕を掲げて、祝賀ムードを盛り上げている

 <第90回記念選抜高校野球>

 伊万里市内で車を走らせると、所々に「甲子園出場おめでとう!」と伊万里高校のセンバツ出場を祝う横断幕が掲げられている。写真館「中野スタジオ」の店主の中野博隆さん(52)は「応援したい気持ちを表したいと思った」と店先の横断幕を見上げた。

 大学2年の長男が伊万里高校野球部出身で、自身も同高を巣立った。センバツ出場校が決まる1月26日、朝から結果が気になり、妻和代さん(50)と共に仕事が手に付かなかった。職場のパソコンのインターネット中継にかじりつき、出場校が決まる様子を見守った。画面に伊万里高校の文字が表示されると、「よっしゃー」と言って夫婦でハイタッチをした。すぐに横断幕の作成にとりかかり、翌日から店頭に飾っている。

 写真館のスタジオでは、夏の大会後、引退した伊万里ナインの笑顔を撮影している。スタンドで掲げたり、振り回したりするのが定番の応援タオルが無かった野球部のために、スクールカラーのえんじ色のタオルも2015年に作った。「甲子園でタオルを使うのが夢だった。夢をかなえてくれた」と感激に浸る。そして「とにかくひたむきな姿で、みんなの心に届くプレーをしてほしい。願わくは勝利して甲子園で校歌を歌いたい」と次なる「夢」もできた。

 「うれしくて何かしたいと思って」と話すのは伊万里市内の「文具のハヤタ」の早田文昭さん(54)だ。印刷業も手がけているため、会社の印刷機で長さ3メートル、幅60センチの幕に大きく「佐賀県立伊万里高等学校甲子園出場おめでとう!」の文字を印刷し、発表当日に店内に貼った。すると、道路を挟んですぐ向かいの自動車販売会社から「うちにも作ってくれ」と依頼があり、翌日に朝一番で印刷した。その後、中心市街地や有田町のから揚げ屋からも要望があり4枚増刷した。

 伊万里市と有田町がつくる「伊西(いせい)地区」の唯一の普通科進学校で、創立以来102年の伝統を誇る伊万里高校は「伊高(いこう)」と親しみを込めて呼ばれる。同窓生は各地で活躍し、早田さんもそのうちの一人で、NPO法人「まちづくり伊萬里」の理事長として中心街の活性化を進めてきた。若者が減って人口が年々減少していると危機感を持つ中、「これを機に市外の人に伊万里を知ってもらい、町を盛り上げたい」と期待する。

 試合当日は地元の人を集め、NPOが事務局を務める集客施設「伊萬里まちなか一番街」の1階にあるプロジェクターで応援し、地域の盛り上げに一役買うつもりだ。「周りの応援あっての出場だと思う。悔いない試合をしてくれれば。町のみんなで応援したい」と早田さんは初戦のプレーボールを待っている。【池田美欧】

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