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社説

シリア停戦決議採択 「地上の地獄」に終止符を

 グテレス国連事務総長は「地上の地獄」と表現した。

     国連児童基金(ユニセフ)は、惨状に言葉を失うとして、あえて白紙の声明を出した。

     シリアの内戦である。現地からの映像はがれきと化した街並みと土煙を映し、泣き叫ぶ子らの声も聞こえる。胸がつぶれるような光景だ。

     特に首都ダマスカス近郊(東グータ地区)ではアサド政権軍の攻撃で多くの市民が犠牲になり、食糧や医薬品も底をついている。

     国連安保理は30日間の停戦を求める決議を採択した。だが、停戦の日時は明示せず、人道支援物資の搬入や決議の対象となる武装組織に関する文言も曖昧だ。軍事的に優勢な政権軍と後ろ盾のロシア軍がいかようにも解釈できる内容といえる。

     だが、アサド大統領は戦況におごらず直ちに停戦すべきである。政権軍は激しい空爆や砲撃に加え、クギなどを詰めて飛散させる「たる爆弾」で民衆を無差別に殺傷してきた。化学兵器を使った疑いもある。

     内戦が始まって7年。死者は昨秋、35万人近くに達した。東京都新宿区の人口に匹敵する数だ。シリア国民を思うならアサド大統領は戦闘の終息をもっと真剣に考えるべきだ。

     ロシアも同様だ。シリアに軍事介入したロシアは米国をしのぐ影響力を築いた。米国は昨春のシリア攻撃以降はアサド政権への軍事行動を控え、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に力を注いできた。

     ロシアはイスラム教シーア派系のイランやアサド政権と共闘し、米国はサウジアラビアなどスンニ派アラブ諸国と連携する。米露代理戦争とも映るが、実態はもっと複雑だ。

     2月上旬、イランの無人機を警戒していたイスラエル軍機をシリア軍が対空ミサイルで撃墜した。トルコ軍は1月からシリア領内に越境しクルド人勢力を攻撃してきた。

     内戦に加え複数の外国勢力がシリアを舞台に対立し中東情勢が液状化している。極めて危険な状況だ。

     国内に多数のイスラム教徒を擁するロシアにとっても、介入を続けて中東情勢をこれ以上悪化させるのは得策ではあるまい。

     人道危機の解決へ米露が密接な協力を考える時だ。そうでないと「地上の地獄」は終わらない。

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