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第103回全国高校野球選手権

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センバツ90/4 野球肘、二の舞い防げ 元球児のスポーツドクター・木島丈博さん

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  <第90回選抜高校野球>

木島丈博さん(37)

 静岡県富士市にある富士整形外科病院の野球・スポーツ外来で、平日毎夕、小中学生や高校生を診察する。診療人数は月間約140人で、半数以上は球児だ。肘や肩の障害解決のため、理学療法士らと治療に取り組む。

 「リハビリで関節の動きを改善したり、投球を一定期間制限したりして、回復を図ります。重症時には手術をすることもある。適切な時期に治療を受け、高校3年生で完全燃焼してほしいというのが願いです」

 福島県郡山市生まれ。小学4年から野球を始めたが中学1年の春、右肘の故障に見舞われた。腫れや痛みが突然出て曲げ伸ばしができなくなった。外側の軟骨がはがれる「離断性骨軟骨炎」。左投げに変えレギュラーの座をつかんだものの、打撃時の痛みに悩まされ高校野球は諦めた。

 「医師に『野球はもう諦めた方がいい』と言われショックを受けました」。自分のように苦しむ選手を救いたいと、高校から整形外科医を目指した。

 離断性骨軟骨炎は、ボールの投げすぎなどで起きる障害「野球肘」の一種で、重症化すると治りにくい。成長期の球児の2~3%が発症するが、進行するまで痛みがないため気づきにくいとされる。

 「痛みが出た時は既に重症化している場合が少なくない。しかし初期段階で治療すれば9割は治る。各地を訪問し、小中学生の選手の肘を超音波で検査する『野球肘検診』にも取り組んでいます」

 治療は長期間の投球制限が必要になることもある。悲観して泣き出す球児もいるが、1年間の制限を経てプロになった選手もいる。こうした事例を挙げ、心のケアもしていく。

 「高校球児の故障も成長期の障害が原因の場合があります。中3の引退後や高校入学時にメディカルチェックを行い、問題があれば、下級生のうちに治したほうがいい」

 今春のセンバツでは、投手の故障予防などのためタイブレーク制度が導入される。球児の負担減や医療サポートが広まりつつあると感じている。だが、球児の将来のため、もっと配慮が必要と考える。「普段の練習や小中学生の時から障害防止策を講じるべきで、週1回休ませたり、冬季にオフをとったりすることも必要と思います」=つづく

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