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第103回全国高校野球選手権

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逆襲の花巻東

’18センバツ 負けないチームへ/下 主将成長で一体感 選手の意識改革促す /岩手

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練習後、選手同士のミーティングで意見を出し合う菅原主将(中央)ら=東京都多摩市の国士舘大学で 拡大
練習後、選手同士のミーティングで意見を出し合う菅原主将(中央)ら=東京都多摩市の国士舘大学で

 「今のはピッチャーが取らなきゃ!」「どうしてファーストに投げなかった?」。2月中旬、6年ぶりのセンバツに向けて東京都内で合宿を行った花巻東。佐々木洋監督(42)の母校、国士舘大のグラウンドには、シートノックを受ける選手たちの明るい声が響いた。ミスや疑問点が出ると、すぐに選手同士が大きな声を出して原因を確認し合う。チーム内には、全員で強くなろうというムードが醸成されていた。

 初出場で準優勝した2009年の菊池雄星投手(現西武)や、前回出場した12年の大谷翔平選手(現米大リーグ・エンゼルス)のような傑出した選手がいない今回の花巻東。3度目のセンバツを引き寄せる大きな原動力となったのは、菅原颯太主将(2年)を核としたチームの一体感だ。ただ、育む道のりは平らではなかった。

 「自分なんかが言っていいのか?」。秋の東北大会へ向けてチームをレベルアップしようとしていた昨年9月下旬。菅原主将は、迷いの中で思い悩んでいた。県大会優勝で気が抜けたのか、練習が静かになってしまったチーム。打撃練習中にぼーっと待ったり、声掛けしなくなったりする選手もいる中、元々自ら指示するのが苦手だった菅原主将は「けがで県大会のベンチを外れていた」引け目で、強く注意する勇気が出なかったという。

 「チームの士気を上げるには、どうしたらいいのか……」。東北大会開幕の約半月前、菊池投手時代の主将だった川村悠真コーチ(26)に相談すると、こうアドバイスされた。「監督だったら今どうするかを考えて、大人の目線から声を出してみたら」

 その日を境に、菅原主将は練習中の声掛けを工夫し始めた。それまでは「声出していこうぜ」と言っていた場面で「声出てないよ、集中して」と客観的に指摘するようにした。発言が一部の人に偏りがちだった練習後の選手ミーティングでも、話せずにいる仲間に「何かない?」「どう思う?」などと声を掛けるようにした。

 菅原主将の変化に、選手たちは刺激を受けた。「菅原が頑張っているなら、レギュラーの自分たちもチームのためにしっかりしないと」。佐藤千暁選手(2年)はそう感じ、練習中に先陣を切って声を出すように。菅野豪琉(たける)副主将(2年)も、菅原主将を支え、チームを引っ張る選手を増やそうと、メンバーとの会話を増やすよう心掛けるようになった。

 東北大会直前の練習試合。強豪・早稲田実(東京)との2連戦に連敗すると、選手たちの目の色は変わった。「勝ちたい」--。弱さを自覚し、勝利に向けて結束した選手たちは、成長した主将の下で「負けないチーム」に生まれ変わろうとしていた。【三瓶杜萌】

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