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出口ないJK 死を見つめる

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 桐野夏生さんの『路上のX』(朝日新聞出版)は、現代格差社会の闇の一つ、出口がないJK(女子高生のこと。広義ではその年代の女の子)の生きる姿に斬り込んだ戦慄(せんりつ)の一冊だ。

 親が事業に失敗し、預けられた叔父の家で満足に食べさせてももらえない16歳の真由。家出した東京・渋谷で1歳上のリオナと出会う。大学生のマンションに転がり込み、奇妙な生活が始まる。貧困、虐待、ネグレクトの中で育ち、逃げるすべは家出だけ。泊まる場所も、お金もなく、男たちの欲望にさらされ、だまされ、搾取される日々。彼女たちの叫ぶ声はどこにも届かず、その前に助けを呼ぶ知恵も、絶望や孤独を語る言葉すらおぼつかない様子を容赦なく描き出す。

 街に逃げ出した少女が生きていくのは、かくも困難なのだ。乾いた筆致で淡々と紡ぎ出す物語世界に引きずり込まれる。真由が意志を持って行動する終幕は、一瞬胸がすくが、実は何の解決にもなっていない。果てしない泥沼が続くだけの閉塞(へいそく)感がすさまじい。

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