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バー・火の子

岡本太郎ら芸術家、文豪が交流 写真展開催

内城育子さんが撮影したバー「火の子」で談笑する(左から)武満徹、山口昌男、一人置いて三浦雅士さん=1984年撮影
内城育子さん=東京・西新宿のバー「火の子」で1989年撮影

 1970年代から2000年代初頭にかけて多くの作家や学者、芸術家らが通い、にぎわった東京・西新宿のバー「火の子」。その主人だった内城(うちじょう)育子さんは2年前に83歳でひっそりと亡くなったが、店内で自ら撮影したものを中心に約6000枚の写真を残していた。スナップ写真ながら、往時の文化人らの交流を物語る貴重な記録だ。うち600枚を展示する写真展が19~24日、東京・銀座で元従業員や常連客らの手によって開かれる。

     73年、西新宿の雑居ビル3階に開店した「火の子」はカウンターと四つのテーブル計25席の小さな店だった。芸術家の岡本太郎、音楽家の武満徹、文化人類学者の山口昌男、作家の大江健三郎さん、評論家の三浦雅士さんといった人々が通った。多彩なジャンルの表現者や大学教員、編集者らが語り合い、議論を戦わせた伝説的な酒場だ。

     元従業員の石井恭子さん(56)によると、「育さん」と呼ばれていた内城さんは「話し好きで、互いに見知らぬ客同士を引き合わせていた。文化人たちの交流を喜び、自分も会話に加わっていた」。また、カメラで店内の客たちの様子をよく撮影した。客に頼んで自らも一緒に写してもらうこともあった。

     足かけ30年続いた「火の子」を02年に閉店後、内城さんは生活保護を受けながら1人暮らしを続けた。16年5月、新宿区内の自宅マンションで倒れているのが発見され、4日後に脳梗塞(こうそく)のため死去した。アルバム三十数冊に整理された写真が残され、ほとんどがモノクロで80年代から90年代半ばのものが多かった。石井さんらが遺族の了解のもと保管してきたという。

     亡くなる2週間前、常連客だったフリーライターの佐伯修さん(62)は内城さんから電話をもらった。「できれば写真集を作りたいという話だった」。やはり常連客で元NHKディレクターの西松典宏さん(73)もその2、3年前に写真集について相談を受けていた。

     「火の子の宇宙~内城育子写真展~」は、東京都中央区銀座1の9の8のギャラリー巷房(こうぼう)2で。西松さんは「育さんが願っていたことの一部を展示という形で実現したい。さまざまな分野の人々の交流を促した彼女が残した写真は、酒場と一つの時代の文化の関わりを示す貴重な記憶遺産だ」と話している。問い合わせは同ギャラリー(電話03・3567・8727)。【大井浩一】

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