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第103回全国高校野球選手権

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’18センバツ創成館 第2部 躍進の陰に/中 頼れる親代わり /長崎

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登校する選手を送り出す寮監の松本さん(左) 拡大
登校する選手を送り出す寮監の松本さん(左)

 「行ってきまーす」。毎朝8時過ぎ、創成館野球部の専用寮「若竹寮」から制服姿の選手が次々と現れ、学校に向かう。中には、眠そうに目をこする選手も。笑顔で見送るのは寮監の松本真一さん(46)。親元を離れ、共同生活する100人近い部員を“父親”として温かく見守る。

 松本さんは社会人野球の九州三菱自動車(福岡市)で15年間、投手や選手兼コーチとして活躍した。現在、創成館の監督を務める稙田(わさだ)龍生さん(53)は当時、チームの先輩だった。

 松本さんは選手を引退後、野球を離れた生活を送っていたが、創成館が初出場した2013年のセンバツで、稙田さんが監督として指揮を執る姿をテレビで見て、「指導者として、もう一度野球に関わりたい」という気持ちが湧いた。稙田監督から投手コーチと寮監への就任を打診されたのは約2年後。二つ返事で、16年1月に創成館に来た。

 グラウンドでは林田大輔コーチ(37)とともに投手陣を指導する。普段は柔和な表情を崩さないが、選手が手を抜いているのを見ると、厳しく叱る。「マウンドは孤独との戦い。自信は練習でしかつかない」。自身も選手時代は人一倍、練習したという自負がある。

 創成館の投手は25人と、県内でも有数の多さだ。公式戦での登板機会がないまま、卒業する選手も多いが、松本さんは主力や補欠の分け隔てなく声をかける。「高校で花が咲かなくても、本気でやっていれば、いつかチャンスがくる。自分に限界を決めないでほしい」という思いからだ。

 練習は真剣勝負。だが、寮に帰れば選手も松本さんも表情が緩む。選手と一緒に入浴したり、冗談を言い合ったり……。寮で暮らす選手の一人は「気さくで、親身に話に乗ってくれて頼りになる」と話す。選手たちの体調に気を配るのも松本さんの大事な仕事だ。午後11時の就寝後に、各部屋を見回り、松本さんが布団に入るのは午前1時過ぎ。「この子たちは私の子どもだと思っています」

 寮では高校生らしい無邪気な表情を見せる選手たち。そんな“子どもたち”がもうすぐ甲子園の大観衆の前でプレーする。松本さんの胸も躍る。=つづく

〔長崎版〕

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