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第103回全国高校野球選手権

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’18センバツ創成館 第2部 躍進の陰に/下 目、気、心配りを胸に /長崎

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マネジャー室で働く小玉さん 拡大
マネジャー室で働く小玉さん

 <第90回記念選抜高校野球>

 2月上旬、ライトに照らされた小雪舞う創成館グラウンド。バットを振る選手をネット裏から真剣な表情で見つめるマネジャー小玉莉彩(りさ)さん(2年)の姿があった。笑顔と細やかな気配りでチームを陰から支える。

 マネジャーは小玉さんと1年生の山本愛華さんの2人。グラウンドでの仕事は筋トレやダッシュなどのタイマー操作に限られる。だが選手が見えない仕事は多岐にわたる。

 午後4時前に授業が終わると、小玉さんは女子寮に荷物を置き、選手たちの食器を洗うため慌ただしく食堂へ向かう。練習中はグラウンドの外を清掃したり、アイシングの用意をしたり。夕方や土日、散歩がてら応援に訪れる地域の人に「こんにちは」と気さくな笑顔でお茶を差し出す。寮に帰るのは午後8時過ぎ。自由時間はあまりない。でも「覚悟」を持って創成館のマネジャーになった。

 佐世保市出身。兄と共に小学3年生まで地域のソフトボールチームに入り、野球の楽しさを知った。中学ではバレーボールに打ち込んだが、創成館に入学が決まると「新しいことがしたい」と親しみがあった野球部のマネジャーを志望した。

 県下有数の部員数を誇る強豪校のマネジャーになることに一抹の不安はあった。中学を卒業してすぐにグラウンドを訪れた際、当時2年生マネジャーに「休みはないよ」と言われた。それでも、チームが初出場した15年夏の甲子園を経験していた彼女から「大会後に選手から『ありがとう』と言われた一言が心に響いた」ことも聞いた。「3年間やってみよう」。戸惑いはなかった。

 コンテナを改造した3畳ほどのマネジャー室の壁に「目配り」「気配り」「心配り」と書かれた紙が貼られている。「私はまだ先輩みたいに徹底できていません」と小玉さん。先輩マネジャーの吉井彩歌さん(3年)を目標にしてきた。昨夏、チームが長崎大会で敗れると吉井さんも選手と一緒に泣いた。数日後、引退した吉井さんから手紙をもらった。「りさっぺは私より気が利くから大丈夫」。監督やコーチに注意され、気分が落ち込んだ時、この言葉を支えにした。

 努力や成長を最も近くで見続けてきた選手たちの晴れの舞台が目前に迫っている。開会式の入場行進では、創成館のプラカードを持って行進する。選手たちと共に挑むセンバツ。「笑顔で力いっぱいの声援を送りたい」(この連載は今野悠貴が担当しました)

〔長崎版〕

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