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大学の授業料無償化に条件 学問への干渉にならぬか

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 大学を統制する道具とならぬよう、慎重を期すべきだろう。

 政府が進める大学や短大など高等教育の無償化について、具体的な制度設計が始まった。

 政府の方針では、住民税非課税世帯(年収250万円未満)の高校生らが大学などに進学する際に、国立大は授業料を免除する。私立大などは、授業料の一定額を支給する。

 授業料の免除・減額分は、政府が生徒が進学する大学などに支払う。

 貧困の連鎖を断ち、経済的な格差の固定化を防ぐためにも、困窮世帯の若者への進学支援は重要だ。

 ただし気になるのは、支援金が払われる大学などに、政府が条件を付けている点だ。政府は、企業などで実務経験がある教員の配置や外部人材の理事への起用、成績評価の厳格な管理、財務・経営情報の開示を求めている。これらは、授業など教育内容に直接関わってくる。

 確かに、大学が社会の要請に応じて改革していく姿勢は重要だ。実務経験がある教員が入ることで教育内容が活性化することもあろう。

 私立大の4割が定員割れするなど今後、大学の再編や淘汰(とうた)は避けられぬ状況もある。ずさんな経営や教育をする大学などの延命に、多額の税金を投入するわけにはいかない。

 だが、教育機関自体が主体となって取り組むべき教育の中身の改革と、学生への支援は別の話だ。

 大学などに対する国の考えを、生徒への支援とからめて押しつけることにもなりかねない。

 国立大学協会の山極寿一会長(京都大学長)は「自治への介入」にあたるとして、批判を強めている。教育改革の主体はあくまで大学であり、懸念は理解できる。条件を一律に教育機関に適用することについては、疑問がある。

 また、支援条件については、生徒の高校の成績なども考慮される。条件を厳しくしすぎれば、貧困対策である制度の趣旨を損なう恐れもある。大学などに入学した後の学習状況を評価の中心にすべきだ。

 文部科学省は有識者による専門家会議を設け、支援する生徒の条件や給付する大学などの条件の詳細を、今夏までに決める方針だ。

 公正な形で、多くの生徒に手を差し伸べる制度が望まれる。

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