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障害者雇用率の引き上げ 経営者の意識が問われる

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 法律で定める民間企業の障害者雇用率が来年度以降、現在の2%から2・2%になる。「共生社会」の実現に向け、企業はさらなる対策を迫られるが、職場の事情にあわせて障害者を受け入れる手法では追いつかないのが現実だ。

 障害者の特性に応じ、会社全体の働く環境や組織のあり方をトップダウンで見直すことも重要になる。国は2020年度末までには雇用率を2・3%へ引き上げる計画だ。経営者の意識こそが問われている。

 現行の法定雇用率を義務付けられている従業員50人以上の企業は9万社強ある。厚生労働省によると、2%を満たすのは5割で、一人も雇っていない企業が3割あった。

 2・2%への引き上げに伴って、これまで雇用率の計算対象外だった発達障害やそううつ病を含む精神障害者が、来年度から対象になる。精神障害者の雇用義務が生じるわけではないが、一部の企業は独自の取り組みを始めている。

 1万人以上の従業員を抱えるコールセンター運営大手のトランスコスモスは、精神障害者約60人がホームページ作成担当などとして働いている。13年から精神保健福祉士を採用し、仕事の悩みなどを相談する態勢を整えた結果だという。

 また、大阪市のリーガロイヤルホテルは、経営戦略に「障害者の雇用」を位置づけ、その能力を引き出す環境作りに努めている。部長級をリーダーとする社内横断のプロジェクトチームには、障害者や家族に障害者がいる社員をメンバーに加えた。

 ホテルの業務の中で障害者が担える仕事内容を検討し、マニュアルの作成や各部署への理解を求めた。昨年末段階で、製菓や文書部門などで35人の障害者が働いている。

 一歩目のハードルが高いのが中小企業だろう。厚労省によると、障害者が一人も働いていない企業の多くは従業員100人未満の企業だった。その点、都道府県別の雇用率が昨年2・62%とトップだった奈良県の事例が参考になる。

 地元企業などと14年に「障害者はたらく応援団なら」を設立。職場実習や見学の受け入れなどを通じ、障害者雇用の裾野を広げてきた。自治体も企業まかせでなく、こうした取り組みを参考にしてほしい。

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