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我らが少女A

/212 第6章 20=高村薫 多田和博・挿画監修

 雨上がりの午後、忍の予想に反して小野の姿は多磨駅にはない。朝、小野は夜勤明けで駅を出た後、東町の実家に駆け戻って引っ越し業者のトラックを待ち、午前十一時から積み込みを始めて、正午にはトラックに同乗して実家をあとにした。その二十分後には三鷹市下連雀の新居に着き、そこで優子のほうの引っ越しトラックを待っていたときだ。道路が混んでいる云々(うんぬん)の優子からのLINEに混じって、フェイスブックにも着信があり、開けてみるとアップルパイとパフェの写真が一枚ずつ。それだけでコメントもない送り主は案の定、浅井忍だ。誤送信かと呆(あき)れたが、そこへ優子のトラックが到着して小野の頭は一気にリセットされてしまった。忍が送ってきたパフェなどの写真が再び話題に上るのは、もう少し先のことになる。

 とまれ、ほかに代替日はない新居への引っ越しが雨に当たらずに済んだことで、若い二人は傍目(はため)に…

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