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2018年入試速報 私大志願者10万人超えが6大学 

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大学合格者「高校別」ランキング 私大総集編141大学

全体の競争倍率は低下傾向

 大規模総合大学の志願者増が続き、少子化にもかかわらず、18歳人口がピークだった時を上回る大学も多い。しかし、私立大全体としてみれば、着実に易化の方向に向かっているようだ。

 少子化が進み、18歳人口は右下がり。それなのに私立大の志願者数は増え続けている。今春の志願者数ランキングトップ20(左の表)に挙がる大学も、大半が前年の志願者数を上回っている。ランキングのトップは5年連続で近畿大になりそうだ。実学志向の大学として、「近大マグロ」などの分かりやすい研究成果の発信に加え、他大学に先駆けたインターネット出願や学部新設、キャンパスリニューアルなどの改革を続けてきた効果が志願者数に表れている。

 代々木ゼミナール教育総合研究所の主幹研究員、坂口幸世さんは言う。

 「志願者数日本一のアナウンス効果が受験生に与える影響は大きく、人数の増加と共に難関私大を併願する層も徐々に増えていると思います。こうした状況が長く続くなら、関西のトップ私大に肩を並べる日が来るかもしれません」

 2位は昨年初めて早稲田大の志願者数を抜いた法政大で、3年連続で志願者が10万人を超えた。3位の明治大は後期募集を残しているが、昨年に続き2位の座を守りそうだ。その明治大は2007年から連続で10万人台をキープし、昨年の4位から順位を上げた。4位には早稲田大が入り、以下、日本大、東洋大までが10万人超えだ。

 ランキング中で志願者の増加率が最も大きいのは、9位の中央大の18%増で、全ての学部が前年を上回っている。次いで伸びているのは立教大で15%増だ。

 「中央大は前年に志願者が減少した反動。立教大はセンター方式や英語外部試験を活用したグローバル方式で志願者が大きく増えました」(予備校関係者)

 立教大や中央大の他には、東洋大が10%増、西日本では関西大が9%近い伸びになっている。

 ランクインした大学の志願者の多さは、直近で18歳人口がピークだった1992年と比較するとよく分かる。当時の18歳人口は、今春を87万人上回る205万人だったにもかかわらず、志願者が10万人を超える大学は、早稲田大と日本大、明治大の3校だけだった。今回ランクインした大学の中で11校が92年の志願者を上回っているのだ。18歳人口減少の一方で志願者が増えている要因について、代ゼミの坂口さんはこう話す。

 「92年入試は、センター方式を導入する大学も少なく、ほぼ一発勝負でした。その後、入試が多様化し、学部も増えた影響で、18歳人口の減少にもかかわらず志願者が増えているのです」

 ただし、多様な入試のチャンネルを用意しても、志願者が増えている大学は限定的。2018年入試は志願者数が未確定なので、92年と17年の志願状況を比較すると、総志願者数が382万人から339万人に減少するのと連動して、7割近くの大学で志願者が減っている。そうした中、ランクインした大学の志願者の合計は、146万人から152万人に増えている。これらの大学の共通項は、都市部の大規模総合大学ということ。

 もっとも、志願者が増えたからといって、当時に比べて極端に難化しているわけではない。入試方式や学部が増えたことにより合格者が増えているため、両年の倍率(志願者数÷合格者数)を比較すると、法政大が6.8倍から5.6倍、早稲田大が10.8倍から7.2倍など、倍率が下がっている大学が多いのだ。

 「当時は一発勝負なので、模試で合格の可能性が高く出ても、わずかなミスで落ちました。今は入試方式が多様化していて、複数の大学を受けられるので、一つの大学でミスをしても他の日程や方式で挽回できます。92年と今では入試のハードルの高さがまったく違うのです」(代ゼミの坂口さん)

 入学者の定員超過率抑制による合格者の絞り込み、さらに現行の教育課程になって国立大のセンター試験の科目負担が増したこともあり、志願者増による私立総合大入試の厳しさがクローズアップされる。それでも、入試自体が易化しているので、18歳人口のピーク時に入試を経験した保護者世代からは、「昔ほど厳しくないので頑張れ」とのエールが聞こえてきそうだ。【大学通信・井沢秀】

*週刊「サンデー毎日」2018年3月18日号より転載。私立大141校の合格者高校別ランキングは実際の誌面で確認してください。

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