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第103回全国高校野球選手権

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春を輝け

夢を支える/下 聖光学院・内山博道マネジャー(2年) 日本一のサポートを /福島

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センバツ前のキャンプに持っていく荷物を準備する内山博道マネジャー(左)=聖光学院高校で 拡大
センバツ前のキャンプに持っていく荷物を準備する内山博道マネジャー(左)=聖光学院高校で

けがで転向、新たな誇り

 グラウンド脇の水道がはき出す、今にも凍りそうな水で米を研ぐ。40合を炊き、部員たちの間食のために、おにぎりを一つ一つ握る。それが聖光学院の内山博道マネジャー(2年)の日課だ。「いつも同じ味だと飽きるから」。炊飯器の炊き時間を調整し、お焦げをわざと作って焼きおにぎりの風味を付ける技も習得した。

 2016年春、甲子園を夢見る捕手として入学した。だが、中学時代から抱える右肘の痛みが引かず、その年の9月に手術を受けた。さらに右肩の故障が見つかり、全治1年と診断された。そんな時、横山博英部長(47)から声をかけられた。「マネジャー、やってみないか」

 嫌だと思った。飲み物を作ったり片付けをしたりするだけの「お手伝い役」。「野球をやるために聖光に入ったのに」。なによりも、須賀川市の実家から送り出してくれた両親への申し訳なさに、さいなまれた。

 練習ができないためマネジャーを引き受けたが、言われたことをこなすことしかできなかった。そんな状態を変えたのが、横山部長からの言葉だ。

 「マネジャーがしっかりしているチームは強い。お前次第でチームは変わる」

 本気で専念したいと思った。冬休みに帰省し、両親を説得した。最後には「日本一のマネジャーになりなさい」と背中を押してくれた。

 今は、部員たちが野球に集中できる環境を作るのが自分の仕事と、胸を張って言える。限られた練習時間を無駄にしないため、練習の流れを想定し、次に必要になる用具を準備する。右手でボールを投げることはできないが、けがをしていない左手での投球を練習し、バッティングピッチャーとして貢献できるようにもなった。

 「野球をしたい」という気持ちは消し去れない。けれど、仲間の「ありがとう」という言葉を聞くと、マネジャーになって良かったと思える。

 「センバツを前に、チームは日本一に向かって進んでいる。選手に負担をかけないよう、どれだけ支えられるかが自分にとっての勝負です」。日本一のマネジャーになってやる。(この企画は高井瞳が担当しました)

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