米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を巡って、全国の注目を集めた2月4日の沖縄県名護市長選。現職だった稲嶺進氏を破って、報道で当選確実を伝えられた元市議の渡具知武豊氏の表情がしばらくこわばったままだったことが最も印象的だった。
移設を推進したい安倍政権と自公の強力な支援を受けて当選したものの、渡具知氏は、辺野古移設の賛成派と反対派の間で市政のかじ取りの難しさをわかっていたからではないか。「移設容認の民意が示されたとは思っていない。私の支持者にも反対の人がいて複雑な民意だ」と彼自身も語っている(毎日新聞2月5日夕刊)。
直前の名護市での世論調査によれば、移設に反対が66%、賛成は28%。それにもかかわらず、市民が渡具知氏を選んだのは、渡具知氏が選挙では移設に言及せずに経済振興策と地域活性化に絞って訴えたからだ。移設工事が既に着手され、市民の中にもう止められないとの諦めもあった。一方で県レベルでは移設反対の公明の支援を得るために、渡具知氏は「米海兵隊の県外、国外移転」を求めることを約束している。これがさらに移設を…
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