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BPO

「ニュース女子」人権侵害認定 辛さんの名誉毀損

記者会見する「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さん=東京都千代田区で8日、青島顕撮影

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会(委員長・坂井真弁護士)は8日、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)のバラエティー・情報番組「ニュース女子」について、市民団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シン・スゴ)さん(59)の名誉を毀損(きそん)する人権侵害が成立すると認め、MXに再発防止の努力を一層重ねるよう勧告した。勧告は人権委の判断としては最も重い。

 審理対象となったのは、昨年1月2、9日の放送分。沖縄県の米軍ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設反対運動に参加する住民らを「テロリストみたい」などと現地からのリポート部分で表現。スタジオのトーク部分で運動に資金提供をする「黒幕」の話題に触れた際、辛さんの名を出していた。人権委はリポートとトークの各部分を一体として判断。出演者の発言やナレーション、テロップを重ねることで、辛さんが「過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的にやってきた人物でその『黒幕』」などと伝える内容になっていたと認定した。

 坂井委員長は、異なる立場を批判する自由は保障されるべきだとした上で「批判する根拠が真実かどうかや、適切な取材がされたかどうかを確認しないまま、放送することまでが許されるものではない」と述べ、名誉毀損が成立するとした。

 また辛さんへの取材がないことが明白なことや、人種や民族について取り上げる際に必要な配慮を欠いたことをMXの考査担当者が問題にしなかったとして「放送倫理上の問題がある」と指摘した。

 MXは「勧告を真摯(しんし)に受け止め、現在進めている再発防止策を着実に実行して、信頼される放送の推進に努める」とのコメントを出した。

 一方、制作したDHCテレビジョンは昨年、公式サイトで「不法行為を行っている集団を内包し、容認している基地反対派の言い分を(取材で)聞く必要はないと考える」「人種差別、ヘイトスピーチに該当するとは考えていない」などの見解を公表した。同社は8日の取材に対し「サイトに掲載されていること以外、弊社から申し上げることは特にない」と回答した。【屋代尚則】

持ち込み番組、確認ずさん

 「ニュース女子」は、スポンサーの化粧品会社DHCが番組枠を買い取り、制作会社「DHCテレビジョン」などが制作した番組を放送してもらう「持ち込み番組」。BPO放送倫理検証委員会は昨年12月、内容に十分な裏付けがあったか、放送前に制作会社に確認しなかったとして、MXに「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を公表した。

 MXは放送責任を明確にするため、番組制作の主体を自社に移したいと制作会社に申し入れたが、合意に至らず、今月で放送を終了すると1日に発表。一方、DHCテレビジョンは、番組制作を継続し、4月以降も他のテレビ局での放送やネット配信は続けるとしている。

 音好宏・上智大教授(メディア論)は「MXの考査担当者は猛省すべきだ。今回の番組に携わった制作者はもちろん、テレビに携わる人たちが改めて、人権について意識する契機にしてほしい」と述べた。【屋代尚則】

辛淑玉さん「罪重い」

 東京都内で記者会見した辛淑玉さんは「涙が出た。放送人としてやってはいけないことを明確に示してくれた。日本社会には良心がまだあると思った」と語り、「MXはネットのデマを社会に飛び立たせた。罪が重い」と批判した。辛さんは昨年11月から、ドイツに滞在しており、決定に合わせて一時帰国した。放送後、陰湿な嫌がらせを受けていたという。

 MXが今後、人権回復の手段を取らない場合について代理人の弁護士は「法的措置を取る」と述べた。【青島顕】

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