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我らが少女A

/215 第6章 23=高村薫 多田和博・挿画監修

 合田が警大を出て友人のいる病院へ向かったころ、多磨霊園では、浅井隆夫が妻の見舞いを理由に管理事務所を早退して霊園の正門を出る。しかし、吉祥寺病院へは裏門から東八道路へ出るべきところ、その足は反対方向の警大へと向かって歩き出すのだ。

 一方、その二時間ほど前には息子の忍も仕事を終えたその足でさいたま市を出ている。 先々週、忍は早々と栂野真弓の自宅をつきとめはしたが、十代のころのように直ちに行動を起こしたわけではなかった。処方薬のせいで重い頭以上に忍の衝動を抑えていたのは、子持ちの母になった真弓にまったくこころが動かなかった予想外の事実だ。十二年前の記憶を喚起してくれそうにないのであれば、付きまとっても意味がない。多少得られるものがあるにしても、警察に通報されて捕まるリスクを秤(はかり)にかけると、もう少し別の手を探すべきかもしれない。そう考える程度には忍は冷…

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