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社説

大震災7年 福島の自治体 故郷との絆結ぶ手立てを

 死者と行方不明者合わせて1万8434人に上った東日本大震災からきょうで丸7年になる。

     福島県富岡町は、東京電力福島第1原発の南に位置する。原発事故の際は町全体が20キロ圏内にすっぽりと入った。

     町には震災前、約1万6000人の人が住んでいた。昨年4月、町域の約8割で避難指示が解除されたが、富岡に住民票を残したまま約1万3000人が今も県内外で避難生活を送っている。帰還者は高齢者を中心に400人余りにすぎない。

     JR常磐線は昨年10月、富岡駅までの運行を再開した。津波被害も受けた駅の周辺に目立つ建物はなく、汚染土が詰まった黒い袋が山のように積まれる。町内の幹線道路は廃棄物運搬用の大型トラックがひっきりなしに通る。

    人間的復興を目指して

     町内で交流サロンを開く遠藤晴久さん(63)は「こうした環境では、なかなか帰る決断は難しい。私の近所の人たちはほとんど県外避難し、居場所も分かりません」と話す。

     戻った400人と元々の住民をどう結びつけるかが大きな課題だ。

     注目したいデータがある。

     福島第1原発の地元である双葉町は、帰還困難区域が96%を占める。約6900人の町民の多くが県内外に避難している。帰還困難区域の一部が特定復興再生拠点区域に認定され、4年後をめどにコンパクトながらも町の再生が図られる。

     昨年、復興庁と福島県、町が共同で住民意向調査を実施した。「戻りたい」と考えている人は全体の1割強にとどまった。

     だが、「帰還するか否か判断がつかない」「戻らないと決めている」と答えた町民の約6割が「町とのつながりを保ちたい」と回答した。

     多くの住民が、故郷との絆を求め続けている。そこに福島の自治体の再生を考えるかぎがある。

     今野順夫(としお)・福島大元学長は、震災後、120回を超す復興支援のフォーラムを地元で開催してきた。

     今野氏は「原子力災害は被害が広域で長期の避難を伴う。人間らしい生活の回復、人間的な復興には時間がかかる」と話す。

     息の長い支援のあり方を探っていかなければならない。

     震災後、故郷と避難者を結ぶ手立てとして長期避難者に二重の住民票を与えるべきだとの議論が起きた。

     住民登録は住民の基礎情報だ。二重にした場合、選挙権の行使をどうするかなどをめぐり行政の混乱を招くとして制度変更に至らなかった。 被災した自治体は、広報紙を送るなど避難者とのつながりを保つ努力をしている。だが、最近では、避難先が転々と変わる中で、避難元の自治体が避難者の所在を確認できなくなるケースも出ている。

    新たな登録制度が必要

     避難指示の解除に伴い、今春には東電からの慰謝料の支払いが打ち切られる予定だ。被災者はどこで生活するのか選択を迫られる。だが、仕事や家族の都合で帰還方針を決められない人がいる。遠い将来の帰還を考える人も少なくないだろう。

     こうした人が、たとえ住民票を置かなくても、一定の登録で故郷の住民と同じように位置づけられる仕組みを検討すべきではないか。情報提供や生活支援だけでなく、まちづくりへの参加も可能とする。

     それによって富岡に戻った400人は潜在的な町民の存在に勇気づけられる。町外にいる多くの避難者は、条件が整えば将来戻ろうという目標ができる。

     飯舘村は近く、「ふるさと住民票」の受け付けを始める。だれもが住民登録できる。復興についてもアイデアを募り、採用されれば会議にも参加できるという。

     同じ双葉郡の広野町では8割が町に帰還した。富岡町と隣接し、避難指示解除が1年半早かった楢葉町では3割の住民が故郷に戻った。

     被災地に帰還した住民の生活再建は喫緊の課題だ。

     楢葉町には買い物できる場所が十分整っていないため、住民は車でいわき市や富岡町まで足を延ばしている。病院や薬局、介護施設など健康に関わる生活インフラの整備もまだまだ足りない。

     原発事故は、時間的にも空間的にも、とてつもなく大きな被害を及ぼす。福島からの県外への避難者はいまだ約3万4000人に上り、県内の他の自治体への避難者も1万5000人を超えている。

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