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福島第1原発

元副所長の山伏、鎮魂と謝罪の行脚続ける

犠牲者の鎮魂のため、同行者とともに海に向かって般若心経を唱える増田哲将さん(左)=青森県八戸市の蕪島神社前で

 2011年の東日本大震災から11日で7年。犠牲者の鎮魂と東京電力福島第1原発事故の謝罪のため、元同原発副所長で山伏の増田哲将(のりまさ)さん(80)=長野市=は毎年、東北への行脚を続けている。【川辺和将】

 増田さんは長野高、京都大を経て東電に入社。当初は福島県の火力発電所などの増設促進に取り組んだ。福島第1原発の副所長になったのは87年。当時は7、8号機の増設計画があり「増設について地元議会で一人たりとも反対させてはならない」と本社から「特命」を受けた。

 情報収集と人脈作りのため、仕事が終わると毎晩4軒ずつ飲み歩いた。反対派の町議から「娘が原発職員と結婚しようとしている」と相談を受けると「町議の顔を立てるため」に交際相手の職員を別の原発に異動させた。原発反対派が多い漁協の幹部の家族に就職先をあっせんしたこともあったという。「反対派を含めた地元と東電の『運命共同体』を作ることに全力を注いだ」と振り返る。

 89年まで副所長を務めた。在職中から巡礼に関心を抱き、退職後に5年の修行を経て70歳で山伏となった。

 現役当時から東電の「自分でものを考えようとしない体質」に疑問を持っていたが、原発推進に携わった。だからこそ、原発事故には「現役職員だけでなくOBである自分にも、決して許されることのない大罪を起こした責任がある」と感じた。在職中の飲み過ぎがたたってアルコール依存症を患い、2010年には食道がんが見つかっていたが、放射線治療で消耗した心身を奮い立たせ、11年4月に「謝罪行脚」を始めた。

 昨年春、震災で次女と妻、父親を亡くして白馬村に避難した男性と知り合った。土下座した増田さんに、男性は「あなたの思う謝罪を成し遂げて」と語りかけた。その言葉で、増田さんは改めて行脚の継続を決意した。昨年7月には5日間かけて福島、宮城、岩手、青森県を巡り、鎮魂の祈りをささげた。

 行脚の費用は「浄財」であるべきだとの思いから、貯金を使うことはせず、シルバー人材センターで働いている。「私は出口のないトンネルを掘り続けなければいけない『終身刑』のようなもの。体が動かなくなるまで歩き続ける」。今年も5月に東北を巡るつもりだ。

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