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第103回全国高校野球選手権

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春の舞台へ

支える人たち/4止 富島元主将・東知生さん(21) 誇らしい後輩の相談役 /宮崎

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選手と会話する元主将の東さん(左) 拡大
選手と会話する元主将の東さん(左)

 <第90回記念選抜高校野球>

 「キャッチボールすら、うまくできなかった」。富島野球部主将だった東知生(ともお)さん(21)は部活中のグラウンドで思わずため息が出た。当時部員5人中2人は高校から野球を始め、そのうち1人はプロ野球観戦が趣味、もう1人は中学時代、美術部だった。

 2012年、夏の県大会で敗退した3年生9人が引退、2年生はいなかった。1年生で主将を任されたものの、不安で押しつぶされそうになった。

 入部した時、同級生があまりにも少ないため、初心者の2人を誘った。入部を決意してくれたが、グローブのつけ方、バットの握り方を教えて、まさにゼロからのスタートだった。しばらくはキャッチボールすらできない状況が続き、部室では「もうやめるけ」という言葉が飛び交った。

 「それでも続けてこれたのは周りの存在が大きかった」。チームの状況を聞いたOBや他校の野球部員が練習に駆け付けた。東さんら野球経験者の3人は初心者の2人に勇気をもらった。「何もかもが初めてで、自分たち以上に大変なのに必死で練習する姿に励まされた」と振り返る。

 主将として自信が持てずに悩んでいた2年生の時、浜田登監督が就任。「主将をできるのはおまえしかおらん。1人で抱えこまなくていい」と励まされた。3年生の時には中川清治コーチ(48)がつき、2人を慕う中学生が入学し部員は約30人に増えた。

 試合では負けてばかりだったが後悔はない。多くの支えがあり3年間野球に打ち込めた。

 現在は週に2、3回グラウンドに顔を出し、ノックをしたり、選手の相談に乗ったりしている。「今も昔も一生懸命に野球をする姿は変わらないけど、甲子園に出場する後輩は誇らしい」。苦しい時期を乗り越えて今がある富島野球部。甲子園での活躍に心から期待している。=おわり(この企画は田崎春菜と塩月由香が担当しました)

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